国民はなぜ特攻を支持し、「一億特攻」を叫んだのか。隊員たちはなぜ特攻を志願し、どのように選抜されたのか。15年に及ぶ取材をもとに極秘資料・新発見資料を駆使して説き明かす、戦後80年目の真実。「“一億特攻”への道 特攻隊員4000人 生と死の記録」が2025年8月6日に発売されます。

生きて帰れないことを前提とした体当たり攻撃、「特攻」。航空機による特攻だけで、4000人近い若者が命を落としました。世界史上類を見ないこの作戦は、最初の攻撃が行われた1944年10月から、終戦のまさに当日まで、10ヶ月にわたって続けられました。その後押しとなったのが、国民からの熱狂的な賞賛、そのなかで生まれた「一億特攻」というスローガンでした。
人びとは、どのような方法で、特攻を讃えたのか。そして隊員たちは、どのような形で隊員に選ばれ、どのような思いを抱えて死んでいったのか。発掘されたいくつもの最新資料をもとに、多角的な目線から「一億特攻」の真実に迫っていきます。

特攻隊員の故郷を地図上に表した「本籍地マップ」

これらひとつひとつの点から、「一億特攻」の熱狂は生まれていった
■もくじ
- 序章 4000人マップの誕生
- 1 章 故郷の熱狂 ~発掘資料「大君の楯」~
- 2 章 隊員たちの最後 ~米軍映像がとらえた真実~
- 3 章 家族に届いた遺書 ~海上自衛隊 教育参考館 近江一郎資料~
- 4 章 「熱望」「望」「否」 ~国立公文書館 特攻志願者名簿~
- 5 章 そして“一億特攻”へ ~終戦の最後の日まで~
- 終章
■著者:大島隆之

大島隆之さんからのメッセージ
戦後80年の夏、これまで私に戦場の話を聞かせてくれた方々や、戦死者の兄弟姉妹の多くは、すでに鬼籍に入られてしまいました。そして、それと反比例するかのように、特攻や戦争をめぐり、現実から乖離した、都合の良い言説が増えてきているように感じます。そのように語ることをこれまで控えさせてきた戦争体験者の「重し」が取れてきたことを意味しているのだと考えています。
特攻隊員およそ4000人の故郷を表した「本籍地マップ」は、消えゆく「重し」に変わる何かを作り出せないかと始めた取り組みでした。でも、地図上に点を落としただけでは意味がありません。その点のひとつひとつにどれだけの重みを与えられるかが大事なのであって、そのために遺族を一軒ずつ回り、ひとりひとりについて話を聞かせていただいています。現在までに600軒ほどを訪ねました。4000という数から見ればまだまだですが、そうしたなかで見えてきた「特攻の最新像」を番組にし、書籍にまとめさせていただきました。
戦後80年を越えて、これまでの歴史観を見直そうという動きがどんどん出てくるでしょう。もちろん、時代時代ごとに、その時の目線で過去を振り返るのは大切なことです。その時に、判断をくだすための道具のひとつとして、この書籍を利用していただければ幸いです。
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プロフィール 2002年よりNHKエンタープライズ・ディレクター。戦争や災害をテーマとしたドキュメンタリー番組を中心に制作。 ▼これまでの著書
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■書誌情報

- 判型 :四六判
- ページ数 :304ページ
- 定価 :2,200円 (税込)
- 発行元:株式会社 文藝春秋
- 発売⽇:2025年8月6日(水)
▼文藝春秋BOOKSで販売中
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163920030
そのほか、全国の書店、ネット書店などでご購入いただけます。









