“忍ミュ”のディープな魅力に迫る!ミュージカルで表現する「忍たま乱太郎」の世界 講座レポート

“忍ミュ”のディープな魅力に迫る!ミュージカルで表現する「忍たま乱太郎」の世界 講座レポート

“忍ミュ”こと、ミュージカル「忍たま乱太郎」は、尼子騒兵衛氏の『落第忍者乱太郎』及びそれを原作としたアニメ「忍たま乱太郎」を舞台化したもので、2010年から続く大人気シリーズ。NHK文化センター青山教室では第12弾再演公演を終えたばかりの脚本・作詞・演出を手掛けた竹本敏彰さんと善法寺伊作役・反橋宗一郎さんを迎えて、「ミュージカルで表現する『忍たま乱太郎』の世界」講座を開催しました。

会場には熱心な忍ミュファンが大勢かけつけ、オンラインでも350名以上の受講生が参加。ミュージカルの歴史講義のほか、ファンにはたまらない忍ミュの制作過程や裏話も披露。配布された貴重な台本やミュージカルナンバーの譜面を見ながらの大合唱でも大いに盛り上がった講座の様子をレポートします。


目次

1. ミュージカルの歴史と日本文化
2. ストーリーに沿って曲やネタをつなぐ忍ミュの制作過程
3. 役者と演出家の厚い信頼関係
4. どこまでアドリブ?「オフ芝居」の魅力
5. 忍ミュ愛が炸裂した質疑応答タイム
6. 忍ミュの人気ナンバー「名前を呼ぼう!」を合唱
7.第1回~第3回の講座をオンデマンド配信中! 
終了しました

1. ミュージカルの歴史と日本文化

最初は竹本さんから、歌と芝居とダンスが融合したエンターテインメント「ミュージカル」についての講義。ヨーロッパの歌曲「オペラ」をアメリカが輸入し、変形させて生まれたのがミュージカル。アメリカでは敷居の高いオペラのモチーフを現代に置き換え、親しみやすくした「ポップオペラ」という形で多数の演目を上演して人気を集めたそうです。

オペラをミュージカル化した作品の例として「ウエスト・サイド・ストーリー」(ロミオとジュリエット)、「ミス・サイゴン」(蝶々夫人)などを列挙。ミュージカルファンにはおなじみの演目の数々が悲劇であることもポイントに。また、日本の文化であるアニメやマンガが海外で注目されており、忍ミュが海外で公演される日も近いのでは…という期待を込めた話も飛び出しました。

2. ストーリーに沿って曲やネタをつなぐ忍ミュの制作過程

作品の題材を決めたら、ストーリーに沿ってどんな曲やどんなシーンが出てくるか、こういうネタがやりたい…と漠然と書き出して線でつなげていく作業と説明しました。物語の最初と最後を決めるものの、途中でやりたいネタが出てきてそれることもしばしばだそう。頂上に着くまでさまざまなものと遭遇、とにかく歩いてみないとわからない登山に似ていると話しました。

忍ミュは芝居と歌で進行する“歌芝居”というジャンルと説明。1公演で使用する歌は約15曲、芝居と同じくらいの時間の比率を占めるとのこと。曲順を決めるセットリスト作りでは、同じ曲調のものが続かないようにロックやバラード、合唱曲といろいろな曲を構成。このストーリーではどういう歌が生まれてくるんだろう…と考えながら選曲していることも明かしました。

3. 役者と演出家の厚い信頼関係

反橋さんは忍ミュキャストについて、「みんな自分の役柄に責任を持っていて、自分が一番役柄に詳しくないといけないというプライドを持って演じている」とコメント。セリフの言い方や気持ち作りに迷いや不安が生じた時に相談に乗ってくれるのが竹本さん。

必要に応じてセリフを変更したり、納得するようなアドバイスをくれるのがうれしいと語りました。「竹さん(竹本さん)は役者の話をよく聞いてくれる。先輩後輩キャストも多いし、みんなで作っている感覚がある」とも話しました。

竹本さんは「信頼できる役者さんが揃っている。演技指導ではなくて演出に専念したい。演技のことを言うのはベテランの俳優さんたちに失礼だと思うし、役者さんが演技プランを考えるのは一番の楽しみなんじゃないかな」とコメント。

また、演出について「どうやれば役者さんが素敵に見えるか、うれしさやさみしさが表現できるのかを考えている。おおまかに書いた台本を落とし込む作業は役者さんと一緒にやっている感じ。なるべくみんなと話す時間を大切にしている」と語り、稽古中に出たアイデアを作品に反映することも多いなど共同作業で作り上げていることも明かしました。

4. どこまでアドリブ?「オフ芝居」の魅力

竹本さんが忍ミュに参加するようになった第10弾から登場した、人気の「オフ芝居」についてのお話も。反橋さんもお気に入りというこのシーンは同時多発的に役者が舞台のあちこちでいろいろな芝居を展開するもの。

竹本さんは「私はセリフをしゃべっている人以外を結構見たいと思うほうだから(笑)あそこでこんなことしてるとか、情報量がいっぱいあったほうが楽しいと思うんですよね」と竹本さんが演出意図を説明しました。

また、ファンが気になる「オフ芝居がアドリブなのか、台本にどんなことが書かれているものなのか」「日替わりネタはどうやって仕上げていくのか」も詳しく解説。受講者たちはここでしか聴けない貴重な裏話に熱心に耳を傾けていました。

5. 忍ミュ愛が炸裂した質疑応答タイム

会場とオンライン受講者からの質疑応答タイムでは忍ミュへの深い愛情が感じられる内容の質問にふたりが回答。「原作者・尼子騒兵衛先生のミュージカルへの関わり方について」「マンガ、アニメの原作の世界観を壊さないように工夫していること」「稽古が始まるまでに台本は完成しているのか」「ミュージカルでのオリジナルキャラを生み出す過程を知りたい」など濃い内容の質問が数多く寄せられました。

回答の流れから、忍ミュの運動会イベントを東京ドームでやりたいという話題が出ると会場から大きな拍手が。さらにオンライン受講者からも東京ドームでのイベント開催を支持するファンから多数のコメントが相次ぎました。

6. 忍ミュの人気ナンバー「名前を呼ぼう!」を合唱

最後に第12弾でも披露された竹本さん作詞の「名前を呼ぼう!」を歌うことに。譜面を見ながら、竹本さんが受講生に「なぜこの歌詞がユニゾンなのか、なぜこのパートだけみんなで歌うのか…ぜんぶに意味がある」「笑顔で歌った方が明るく聴こえる」など丁寧に歌唱指導。

普段は聴くことができない貴重なデモテープを流しながら練習したあと、会場を3つのグループに分けて合唱しました。受講生全員が知っていたおなじみのナンバーとあって、譜面を見ずに振り付けをしながら歌う受講生も多数。反橋さんが持ち前の美声を響かせて主旋律を歌い上げて大団円。大盛り上がりの中、忍ミュ講座が幕を閉じました。

 

■第1回~第3回 「ミュージカルで表現する『忍たま乱太郎』の世界」  オンデマンド配信中!

これまでに配信した「ミュージカルで表現する『忍たま乱太郎』の世界」(第1回~3回)を期間限定でオンデマンド配信!購入者特典として、NHKカルチャーの講座で使用した資料も配布いたします。購入後、配信ページからダウンロードしてご覧ください。

*オンデマンド配信は終了しました。


講師:竹本敏彰(演出)・反橋宗一郎(善法寺伊作役)


講師:竹本敏彰(演出)・渡辺和貴(潮江文次郎役)・鈴木祐大(食満留三郎役)


講師:竹本敏彰(演出)・新井雄也(中在家長次役)・坂垣怜次(七松小平太役)


講師:竹本敏彰(演出)・佐藤智広(尾浜勘右衛門役)

 

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インタビュー/ライター
高田りぶれ(たかだ・りぶれ)


山形県生まれ。ライターなど。放送作家のキャリアを生かし、テレビ・ラジオ番組のおもしろさを伝える解説文を年間150本以上執筆。趣味は観ること(プロレス、サッカー、相撲、ドラマ、お笑い、演劇)、遠征、料理。
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