「ミュージカル『忍たま乱太郎』」の世界を深く掘り下げる忍ミュ講座が宮城県仙台市のNHK文化センター仙台教室で開催されました。
講師は忍ミュの脚本・作詞・演出担当する竹本敏彰さん、岩手県出身の尾浜勘右衛門役・佐藤智広さん。忍ミュ講座では初の出張開催となった第3回 ミュージカルで表現する「忍たま乱太郎」の世界 in 仙台の模様をレポートします。
目次
- 初演・再演・学園祭…濃厚な第13弾を2人で振り返り
- 受講者からの事前質問をもとに第13弾を深堀り
- ミュージカルを学ぶ、忍ミュナンバーを歌って楽しむ時間も
- 初の音取り用音源も!今回の講座だけの配布資料
- 忍ミュ講座を終えて
- 配信・講座について
初演・再演・学園祭…濃厚な第13弾を2人で振り返り
初の東北開催となった忍ミュ講座。岩手県一関市出身の佐藤さんは学生時代に仙台に遊びに来ていたと懐かしいエピソードを披露。竹本さんも東京から1時間半ほどで来られると距離的に近いと印象を語りました。
コロナ禍が本格的に明けた昨年の忍ミュ第13弾は初演・再演・学園祭を開催。忍術学園五年生の尾浜勘右衛門を演じた佐藤さんは「楽しいの一言に尽きる。こんなこともできるんだという新しい経験はさせてもらった」と濃厚なひとときを振り返りました。
「コロナ禍で沈んでいたので、からっとした作品にしたいと作り手側も見る側も望んでいたんじゃないか。初演と再演では基本的な流れは変えずにどこまでおもしろくできるかブラッシュアップしてネタや台本をほとんど変えた」と竹本さん。テーマを文化祭にした経緯のほか、佐藤さんの学生時代の学園祭の思い出話も飛び出しました。
受講者からの事前質問をもとに第13弾を深堀り
尾浜勘右衛門の役作りへのこだわり
東京・青山教室での講座と同様、受講生から募集した事前質問から第13弾を振り返りました。一番多かったのが「つかみどころない勘右衛門が大好き。演じるにあたって気を付けていることは?」など佐藤さんが第8弾から演じている尾浜勘右衛門の役作りについて。
小さい頃から原作の「忍たま乱太郎」に触れていたという佐藤さん。「読んだり見たりした後に楽しい気持ちになる作品なので、元気で明るい感じにしたいという思いで役を作っている。つかみどころがないっていうのもいろいろな方向性にいけるかな」と語りました。
再現度が高い勘右衛門の髪型の秘密
役作りの次に多かったのが勘右衛門の特徴的な「うどん髪」に関する質問。「摩訶不思議な髪型ですが、ウイッグは重たくないですか?他のキャラクターよりも重く見えます」など皆さんも気になる様子。
「最初は頭を後ろに持っていかれたりして痛かったですけど。縦重心になってから重さをほぼ感じないし、動きづらさもない。実は生え際の部分に隙がないんですよ。再現度がすごいなと思いますね」と髪型の秘密を明かしました。
第13弾で一番のクセキャラ「豆腐博士」爆誕秘話
第13弾を語る上で欠かせない「豆腐博士」の誕生秘話が知りたいという声も多数。勘右衛門と同じ五年生で山木透さん演じる豆腐好きの久々知兵助がいかにして「豆腐博士」になったのかが明らかになりました。
文化祭の研究発表を糸口に豆腐を探求する兵助についてイメージを膨らませ、豆腐の歴史を紐解いたという竹本さん。そして、戦国時代に忍者が使っていたと言われる携帯食「兵糧丸」もヒントに豆腐博士を爆誕させたという経緯を語りました。
さらに豆腐博士の助手、佐藤さんが演じた「ムッシュ尾浜」にも触れ、13弾初演と再演の豆腐博士と助手の画像を公開。初演ではほぼおじいさん風だった豆腐博士が再演では素敵なシェフの姿に。「兵助をかっこよくしては?」と原作者の尼子騒兵衛先生の提案があったことが明らかになると、佐藤さんもビックリ!
忍ミュの音楽、小道具、時代考証…忍ミュの制作秘話や裏話が次々と
ミュージカルならではの音楽についての質問も。四年生は無邪気なアイドル風の曲、五年生は前に進んでいこうというロック調、最上級生の六年生は落ち着いた雰囲気など学年ごとに異なる楽曲のイメージを説明。セットリストの決め方や77曲選んだというイントロクイズの裏話、おふたりが何気なく口ずさんでしまう忍ミュの楽曲もそれぞれ紹介しました。
青山教室で配布された第10弾の資料の中にあった「龍角散」というワードから、こだわりの小道具秘話も披露。舞台上でまいた粉は役者さんたちの喉に優しい「龍角散」であったことを話しました。尼子先生のもとで行われている綿密な時代考証についても触れ、「すごい!講座だ!講座になってる!」と佐藤さん。
ミュージカルを学ぶ、忍ミュナンバーを歌って楽しむ時間も
第1回講座から続けている竹本さんのミュージカルをもっと楽しむための講義。仙台ではミュージカルの歴史や進化、日本での舞台公演の6割を占めるミュージカルの現在と未来について。さらに日本が作り上げた忍ミュなどの2.5次元ミュージカルの持つ可能性や海外公演への夢なども語りました。
恒例の忍ミュソングコーナーでは、竹本さんの歌唱指導のもと第10弾「どこにいても」と第13弾「ウキウキワクワク委員会」を大合唱。「どこにいても」は5人だった五年生が忍務の都合で3人に。たとえ2人が離れていても5人は強い絆で結ばれていると星空を見ながら歌う曲をエモーショナルに歌い上げました。
「ウキウキワクワク委員会」は勘右衛門が体育委員、図書委員などさまざまな委員会からお誘いを受けるノリノリな楽曲。本来は勘右衛門に向けて歌う曲を勘右衛門役の佐藤さんがボーカルを担当するという今回だけの激レアバージョン。受講生たちが発する六年生のセリフをきっかけに曲がスタートし、大盛り上がり。2回目の「ウキウキワクワク委員会」はスタンディングで大合唱。まるでライブ会場のような雰囲気で幕を閉じました。
音取り用音源も!今回の講座だけの配布資料
今回受講生のみなさんには2曲の楽譜と歌唱指導の先生の歌が入った音源を事前共有しました。ミュージカル俳優さんたちに「音取り用」として配布される音源も追加。合わせて、作品の世界観を知ってもらおうと曲につながるシーンの台本の一部も資料として配布しました。
【配布資料】
- 「ミュージカル忍たま乱太郎 第10弾再演」の台本(一部)
- 「ミュージカル忍たま乱太郎 第13弾再演」の台本(一部)
- 第10弾「どこにいても」の音源および譜面
- 第13弾「ウキウキワクワク委員会」の音源および譜面
忍ミュ講座を終えて
●竹本敏彰さん
東北で公演や講座を積極的に浸透していきたいという気持ちが一層強くなりました。今、東北の方に興味があって勉強したいというのもありますね。今回のような開催した公演を改めてみんなで深堀りするのは公演を二度楽しめるみたいでいい企画じゃないかなと。第14弾はアニメの作品をモチーフに描いていきます。五年生対六年生のどんな対決が見られるのかがすごく楽しみですね。アニメの世界とはまた多少違った舞台の世界ならではの演出も見どころではないでしょうか。ファンミーティング、初演も含めて首を長くして心待ちにしていただきたいですね。
●佐藤智広さん
受講生の皆さんがしっかりリアクションを取ってくれたのが楽しかったですね。ちゃんと歌も練習してきて、手振りもやってくれたりしてスゴいなと。ファンの方々の力を感じました。今後も公演や講座などを東北で開催できたらうれしいです。「忍たま乱太郎」はみんなが知っている作品ですし、僕の家族や友人など東北在住の方も見やすいと思うので。第14弾では本編で久々に五年生が5人揃うことになります。僕以外の4人の力がすごくて(笑)。時を経て集まった5人で六年生を倒すぞ!世代交代じゃー!下剋上じゃー!
配信について
これまでに配信した「ミュージカルで表現する『忍たま乱太郎』の世界」(第1回~3回)を期間限定でオンデマンド配信!購入者特典として、NHKカルチャーの講座で使用した資料も配布いたします。購入後、配信ページからダウンロードしてご覧ください。
*オンデマンド配信は終了しました。
講師:竹本敏彰(演出)・反橋宗一郎(善法寺伊作役)
講師:竹本敏彰(演出)・渡辺和貴(潮江文次郎役)・鈴木祐大(食満留三郎役)
講師:竹本敏彰(演出)・新井雄也(中在家長次役)・坂垣怜次(七松小平太役)
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◆レポート/ライター
高田りぶれ(たかだ・りぶれ)
山形県生まれ。ライターなど。放送作家のキャリアを生かし、テレビ・ラジオ番組のおもしろさを伝える解説文を年間150本以上執筆。趣味は観ること(プロレス、サッカー、相撲、ドラマ、お笑い、演劇)、遠征、料理。