「カラフルな魔女」角野栄子に心惹かれ、ドキュメンタリー映画を制作した番組プロデューサーにその魅力を聞いた

「カラフルな魔女」角野栄子に心惹かれ、ドキュメンタリー映画を制作した番組プロデューサーにその魅力を聞いた

「魔女の宅急便」の作者・角野栄子さんのドキュメンタリー番組を企画・制作した、番組プロデューサー・宮川麻里奈さん。10年ほど前に、あるインタビュー記事から角野さんを知り、「いつか取材したい」と思い続けていたという。4年にわたって密着取材した番組は、大きな話題となり、新たな映像を大幅に加えて構成した映画がまもなく公開される。宮川さんから見た、作家・角野栄子の魅力とは?

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「魔女の宅急便」をはじめ数多くの作品を世に送り出してきた、国際アンデルセン賞作家・角野栄子さんに、心地よいカラフルな暮らしや自由で自分らしい生き方の中から生まれた物語の魅力についてお話いただきます。
  • オンデマンド配信期間:2024年3月15日(金)23:59まで

     

    世界を見渡してもなかなかいない「そのままで画になる人」

    ――宮川さんは、NHKでいろいろな番組を制作されてきましたが、ドキュメンタリーを撮ろうと思ったきっかけは何ですか?

    宮川:私の30代は、子育てと仕事の両立で慌ただしく過ぎ、40代でプロデューサーになって、「SWITCHインタビュー達人達」という番組を立ち上げました。その後も「あさイチ」や、現在も担当している情報バラエティー「所さん!事件ですよ」などを夢中で作ってきました。いっぽう50歳を目前にした時に、ふと、「地に足がついた、スタイルのある暮らしを見つめるような番組が作りたいな」と思ったんです。

    それで誰を取材するか考えをめぐらせていた時に、角野さんが「降りてきた」んですよ(笑)。じつは10年ぐらい前にあるインタビュー記事を読んで、「いつかこの方を取材したい」と胸にしまっていたことを思い出したんです。

    ――そのインタビュー記事のどこに惹かれたんでしょうか?

    宮川:とびきりおしゃれで素敵な方だというのはもちろん、1950年代にブラジルに渡ったというエピソードを読んで、あの時代にブラジルに移住してしまうなんて、何とぶっ飛んだ方だろうと思ったんです(笑)。

    ――実際にお会いになって、いかがでしたか?

    宮川:想像していた以上に素敵な方でした!頭の回転が早くて、お茶目で、ユーモアがあって。お話ししているといつもゲラゲラ笑っちゃうんですよ。人間的に大きくて、嘘がなくて自然体なので、こちらも無理せずにお付き合いできたように思います。

    ――今回、番組が映画化されましたが、「映画」というのは、最初から考えていたんですか?

    宮川:じつは私、この番組を立ち上げるときに、どこか頭の片隅で「将来映画にできたらいいな」っていう気持ちは持っていたんです。だから通常ならNHKのハイビジョンカメラで撮影するところを、あえて4Kで、質感のある映像が撮れるカメラを使って撮り始めたんです。

    でもまあ、その時は具体的に映画化するあても何もなかったですし、本当にただの妄想というか、夢というか。ましてや自分が監督をやるなんて思っていなかったんです。

    ――制作するうえで、番組と映画の違いはありましたか?

    宮川:番組ならば放送回ごとに「食」とか、「ファッション」とか、テーマを決めて取材をし、構成を考えていくわけです。でも、映画だと「これを見たら角野栄子という人がよくわかった」という、角野さんの人間像に迫るものでなければいけない、と思いました。だから番組の素材を使うにしても、新たな目で見直して、一から構成しました。


    角野栄子さん(右)と娘のくぼしまりおさん(左)

    ――番組の枠を飛び出して、角野栄子さんの魅力に迫ったということですね。

    宮川:じつは、いよいよ映画化が始動するという前に、世界中の高齢の方を主人公にしたドキュメンタリー映画を片っ端から見てみたんです。独特のファッションセンスで有名なおばあちゃまとか、さまざまなジャンルの芸術家とか・・・。その結果、「とにかく角野さんだから大丈夫」と確信しました(笑)。世界を見渡しても、こんなに画になる、どこを切り取っても撮りがいのある被写体はそうそういないぞと。表情豊かでチャーミングで、カラフルなファッションも「いちご色」のご自宅も、角野さん自身のスタイルに貫かれていて、何より心に響く、力のある言葉の持ち主ですから。

    ――番組や映画を見て、角野さんのようになりたいと思う方は多いでしょうね。

    宮川:そういう感想はよく聞きます。「こんな風に年齢を重ねたい」と思う、女性のロールモデルってまだまだ少ないですよね。角野さんを見ていると「こうあらねばならない」にとらわれることなく、「自分の思うように、自由に生きていいんだ」と思えます。角野さんの前向きなオーラを浴びると、明日からの行動が変わるというか、「私も、ちょっと一歩を踏み出してみようかな」と思えるのではないでしょうか。

    ――最後に番組のファンの方に、一言いただけますか?

    宮川:映画を観た方から「番組はいつも見ていたけど、映画は全然別物でした」「角野栄子さんの人間像がものすごくダイレクトに 伝わってきた」と言っていただけて、うれしく思っています。もともと角野さんのファンだった方にも、そうでない方にも、楽しんでいただける映画だと思います。できたら母娘で見ていただきたいな、とも思います。

    ■プロフィール

    宮川麻里奈(みやがわ・まりな)
    1970年6月徳島市生まれ。東京大学教養学部卒。1993年NHK番組制作局に入局。金沢局勤務、「爆笑問題のニッポンの教養」「探検バクモン」などを経て、‘13年「SWITCHインタビュー達人達」を立ち上げる。「あさイチ」などを担当した後、現在はNHKエンタープライズで「所さん!事件ですよ」「カールさんとティーナさんの古民家村だより」などのプロデューサーを務める。映画「カラフルな魔女~角野栄子の物語が生まれる暮らし~」は、初監督作品。一男一女の母。

    映画「カラフルな魔女~角野栄子の物語が生まれる暮らし~」

    「魔女の宅急便」の作者として知られる、児童文学作家・角野栄子の日常に4年にわたって密着したドキュメンタリー番組を基に、新しい映像を大幅に加えて構成した作品。

    88歳の角野さんは、自ら選んだいちご色の家に住み、カラフルな服と個性的なメガネを身につけ、毎日を自由に生き生きと過ごしている。「想像力こそ、人間が持つ一番の魔法」と語る角野栄子は、どのような人物なのか? そのパワーの秘密に迫る。

    2024年1月26日(金)より公開

    語り:宮﨑あおい
    監督:宮川麻里奈/音楽:藤倉大
    プロデューサー:山田駿平/宣伝プロデューサー:大﨑かれん/編集部協力:岡山智子
    ラインプロデューサー:松本智恵/撮影:髙野大樹/編集:荊尾明子/音響効果:河原久美子/監督補:岡澤千恵 

    制作:NHKエンタープライズ/制作協力:角野栄子オフィス エネット/映像提供:NHK/製作・配給:KADOKAWA 

    ⒸKADOKAWA

    映画『カラフルな魔女~角野栄子の物語が生まれる暮らし~』公式サイト
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    【関連番組の放送予定】
    放送:Eテレ 毎月第1日曜 午後6:00~6:30
    再放送:Eテレ 翌月曜 午後1:30~2:00

    詳しくは 『カラフルな魔女~角野栄子の物語が生まれる暮らし』番組公式サイト へ

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    ◆レポート/ライター
    亀井惠美子(かめい・えみこ)

    東京都生まれ。出版社勤務を経て、フリーの編集・ライターとして活動。主に女性誌やインタビュー記事など。趣味はエンタメ(舞台・ドラマ・映画)鑑賞と、編み物。

             
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