作家・角田光代が清志郎を語る！「ロックン・ロール大学」忌野清志郎学後編レポート- NHKグループモール

作家・角田光代が清志郎を語る！「ロックン・ロール大学」忌野清志郎学後編レポート

2023年5月31日

NHKに残る希少映像を利用し、レジェンドアーティストを徹底解剖していく新感覚の音楽教養講座「ロックン・ロール大学」が2023年春、東京のNHKカルチャー青山教室で開講しました。ロク大・記念すべき第1回目は「忌野清志郎学」。進行を務めるのは本学の初代学長、音楽評論家のスージー鈴木さんです。作家・角田光代さんを迎えて行われた「忌野清志郎学」後編の模様をレポートします！

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※チケットの販売は終了しました

1. 音楽評論家・スージー鈴木×作家・角田光代　忌野清志郎＆日本ロック談義
2. 独特の歌詞の世界を深掘り！詩人・忌野清志郎を語り尽くす
3. 「ロックン・ロール大学」忌野清志郎学後編使用映像＆音源リスト
4. 学長からひとこと

■「忌野清志郎学」詳細
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1. 音楽評論家・スージー鈴木×作家・角田光代　忌野清志郎＆日本ロック談義

熱心なファンが詰めかけ、会場は前列から埋まってほぼ満席に。学長のスージーさん、ゲストの角田さんが登場すると大きな拍手が。まずは角田さんと忌野清志郎との出会いについて。19歳の時に日比谷野外音楽堂で見たRCサクセションのライブで「ズキュン！」と来てから熱心なファンに。清志郎さんを見て「かっこいいを知った。かっこいいが形成された」という角田さん。「忌野清志郎のような表現者になりたい」と作家活動へ大きな影響を与えたことや、「本物のこと、真のことがそこにある」と清志郎さんの魅力も語りました。

学長の造詣が深いサザンオールスターズ、桑田佳祐さんやTHE BLUE HEARTSの音楽談義も大盛り上がり。角田さんがそれぞれのバンドの曲を聴いたときの衝撃や、チケットプレイガイドで調べまくってライブに通い詰めたエピソードも披露。「歌詞がハッキリ聴こえてカッコいい」清志郎さんと「何を言っているのかわからないのがカッコいい」桑田さんに関してはお互いに激しく共感。音楽評論家と作家の視点で日本を代表するロッカーたちのカッコ良さを熱く語り、共感し合う場面が印象的でした。

2. 独特の歌詞の世界を深掘り！詩人・忌野清志郎を語り尽くす

角田さん、学長それぞれが特に歌詞が印象的なナンバーを数曲ずつセレクト。各自の視点で歌詞に着目しながら、独特の清志郎ワールドを紐解きました。

・角田選曲　RC サクセション『いい事ばかりはありゃしない』

1980年12月リリース、RCサクセションアルバム『PLEASE』収録。

「いい事ばかりは　ありゃしない」から始まる暗黒時代の疲労感、絶望感を歌い上げた曲を現実から逃避するための避難所的な歌と角田さん。怒り、絶望、失望を歌っている曲だが聴いても疲弊しないのは、聴く人に絶望を背負わせないような作品として提示、「私小説」的一面もあると作家的視点で解釈を述べました。学長と話し合ううちに清志郎さんの歌詞には「現実」と「非現実」の間にある「亜現実・亜世界」が存在するという話に。

・スージー選曲　RC サクセション「空がまた暗くなる」

1990年9月リリース、RCサクセションアルバム『Baby a Go Go』収録。

映像は広島で行われたNHKの音楽イベントから。広島という場所と絶妙にシンクロするメッセージ性の強い楽曲をセレクト。「おとなだろ　勇気を出せよ」という歌詞の中に「子供の頃のように忖度せずに生きてみろとけしかける」清志郎さんの想いがあるのではと学長が解釈。サザンオールスターズの楽曲「ピースとハイライト」と重なると学長が見解を述べると、角田さんが20代の頃に清志郎さんの政治的メッセージが強い曲に抵抗があったことを告白。年を重ねて大人になってから、この楽曲が心に響くようになったと語りました。

3.「ロックン・ロール大学」忌野清志郎学後編使用映像＆音源リスト

・角田選曲

「ダーリン・ミシン」「いい事ばかりはありゃしない」（1980年12月リリース、RCサクセションアルバム『PLEASE』より）

「エンジェル」（2004年弾き語りソロライヴDVD『ONE MAN SHOW』より。1980年 6月リリース、RCサクセションアルバム『RHAPSODY』収録）

・スージー選曲

「ヒッピーに捧ぐ」（2004年弾き語りソロライヴDVD『ONE MAN SHOW』特典リハーサル映像より。1976年4 月リリース、RCサクセションアルバム『シングル・マン』収録）

「空がまた暗くなる」（1991年8月放送、 NHK『広島ピースコンサート』より。1990年9 月リリース、RCサクセションアルバム『Baby a Go Go』収録）

・NHK秘蔵映像

「雨あがりの夜空に」「宝くじは買わない」（1996年9月放送、NHK『BSフォークソング大全集』より。坂崎幸之助とのセッション）

「ぼくの好きな先生」（2001年3月放送 NHK『トップランナー』より。客席の若者よりリクエストを受けて弾き語り）

4.学長からひとこと

作家の角田さんと、音楽評論家の私とでは歌詞の意味の捉え方や感じ方が違うんだなと。その2人のぶつかり合いがとても面白くて発見もあって。角田さんがおっしゃっていた「亜熱帯」ならぬ「亜世界」。現実を描いているんだけども、現実のものではなくて頭にずっと永遠に残るような情景に仕立て上げる、昇華する。それが清志郎の魅力なんだということを今日気づきましたね。こんな感じでロク大を第二回、第三回と続けられればいいかなと思います。

「ロックン・ロール大学」忌野清志郎学後編は5月10日まで、前編は4月25日まで見逃し配信中です。NHKグループモールの特典は、忌野清志郎さんと三浦友和さんの日野高校コンビが出演した貴重なラジオ番組音声です。ぜひチェックしてみてください！

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◆レポート/ライター
高田りぶれ（たかだ・りぶれ）
山形県生まれ。ライターなど。放送作家のキャリアを生かし、テレビ・ラジオ番組のおもしろさを伝える解説文を年間150本以上執筆。趣味は観ること（プロレス、サッカー、相撲、ドラマ、お笑い、演劇）、遠征、料理。
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