短歌の作り方&長く続けていくための秘訣【事例付き】

短歌の作り方&長く続けていくための秘訣【事例付き】

今、若い世代を中心に短歌がブームとなっています。

短歌イベントが全国各地でおこなわれたり、ヒットとなる歌集が次々と誕生したりと、以前に比べて短歌に触れられる機会はグッと多くなり、中には短歌への興味が高じて「自分でも歌を詠んでみたい」と思うようになった方もいらっしゃるかと思います。

しかし、いざ作ろうと思っても、短歌というものは作り方が分からないと、なかなか形にできないもの。

そこで今回の記事では初めて短歌に触れる方向けに、短歌の基礎知識・作り方・うまく作るためのコツなどを解説します。

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目次

1. 短歌とは31音からなる短い詩のこと
2. 短歌の基礎知識
2-1. 初句・二句・三句・四句・結句で構成される
2-2. 文体は文語体・口語体・ミックス型の3種類
2-3. 表記は​​旧かなづかいと新かなづかいの2種類
3. 俳句・川柳と短歌の違い
4. 初心者でも安心!短歌の作り方
4-1. 方法① エピソードをまとめてから作る
4-2. 方法② 題詠をもとに作る
5. 短歌を作るときのポイント
5-1. 季語や切れ字は必要ない
5-2. 要素を詰め込みすぎない
5-3. 書かなくても意味が伝わることはカットしてOK
6. 短歌作りを続けていくための秘訣
6-1. 普段から短歌作りを意識する
6-2. 多くの短歌に触れる
6-3. 発表の場をもうける
7. 短歌の作り方やコツをもっとわかりやすく知りたい方に

短歌とは31音からなる短い詩のこと

そもそも短歌とは定型詩(一定の形が決まっている詩)の1つで、5音・7音・5音・7音・7音の合計31音で整えた言葉の組み合わせのことを指します。

短歌ではこの短い31音の中に哀愁や愛情、悲しみなど様々な思いを込めるため、恋愛や親愛について歌った相聞歌から死別や離別を歌った挽歌まで幅広いジャンルがあるのが特徴です。

短歌はよく国語の教科書に掲載されている俳句と比べると歴史が長く、1000年以上前の平安時代から作られています。

万葉集の時代から作られているとても古い文化であるため、色々決まりがあるのではと思われるかもしれませんが、現在では文体や表記が多様化しており、気軽に自由に作れる魅力があります。

短歌の基礎知識

短歌は自由といえども、ある程度基礎的な知識は必要です。

ここでは、短歌の基本的な知識について解説します。

初句・二句・三句・四句・結句で構成される

短歌は初句・二句・三句・四句・結句の5つの句で構成されます。

ここでは分かりやすく、明治34年に出版された与謝野晶子の『みだれ髪』の第1首を使って解説します。

この短歌では

初句・・・なにとなく
二句目・・・君に待たるる
三句目・・・ここちして
四句目・・・出でし花野の
結句・・・夕月夜かな

となっています。

なお、この歌は「ここちして」で小休止を挟んでいる三句切れの歌であるため、三句目までの「なにとなく 君に待たるる ここちして」が上の句、「出でし花野の 夕月夜かな」が下の句となっています。

歌によっては切れ方が異なり、初句の後で切れる初句切れや結句の前で切れる四句目切れの歌もあります。

歌会などではそれぞれの部位について話すこともあるので、それぞれの句の呼び方は最低でも覚えておきましょう。 

文体は文語体・口語体・ミックス型の3種類

短歌は平安時代から続いているものなので、元々は平安時代の言葉をもとにした言葉である「文語体」で読まれていました。

しかし、1987年に俵万智さんの歌集『サラダ記念日』が大ヒット。

普段私たちが使っている言葉である「口語体」を中心とした歌集であったため、以降口語体の短歌はかなり浸透し、現在の短歌の文体は文語体・口語体・ミックス型(文語体と口語体が混ざったもの)の3種類に分かれています。

では、それぞれの文体でどのような違いがあるのか、例を用いて解説します。

まず、文語体の短歌がこちら。

文語体には、歌に重みや強さを与える効果があります。
力強い表現の歌やクラシカルな歌を作りたい時におすすめです。

次に口語体の歌がこちらです。

口語体は日常の会話や気持ちをそのまま歌にすることが可能ですし、文語体に比べると柔らかい表現ができます。

会話を活かした短歌を作りたい時には口語体がよいでしょう。

最後が文語体と口語体を混ぜたミックス型です。

ミックス型の短歌も近年多くなっています。

文語体と口語体を混ぜるときは、例に挙げている短歌のように比較的軽めの文語体を使うと自然な歌になります。

このように短歌は文体によって歌の雰囲気がガラッと異なります。
1つの文体に特化して短歌を作るのも良いですが、それぞれの文体で効果や印象が異なるので、使い分けられると作れる歌の幅が広がるでしょう。

表記は​​旧かなづかいと新かなづかいの2種類

短歌の表記方法には、旧かなづかいと新かなづかいの2種類があります。

まず、旧かなづかいとはいわゆる歴史的仮名遣いのことで、よく古典などで見る表記方法のこと。
例:「てふてふ(=蝶々)」「まつぴるま(=真昼間)」 など

対して新かなづかいとは現在でも使用されているかなづかいを指します。
例:「ちょうちょう(=蝶々)」「まっぴるま(=真昼間)」

短歌の中には旧かなづかいを使っているものもあり、同じ読みでも新かなづかいとは歌の印象が異なります。

ぜひ慣れてきたら旧かなづかいを使った短歌にも挑戦してみると良いでしょう。

なお、旧かなづかいを使う際には旧かなづかいが記載されている辞書を使うと、正しい旧かなづかいで表記することができます。

俳句・川柳と短歌の違い

短歌と似たものとして混同されがちなものとして挙げられるのが、まず俳句です。

俳句とは誰かが考えた5・7・5に7・7を繋げて共同の詩を作る”連歌・連句”の最初の部分である発句(5・7・5の部分のこと)が独立したものを指し、連歌・連句”の発句は詠んだ季節がわかる様にすることが大切だったため、季語が必要不可欠となっています。

しかし、短歌では必ずしも季語が必要ではありません。季語がない歌もたくさん詠まれています。

また、俳句と同じく川柳も短歌と似たものとして挙げられますが、川柳は下の句(7・7の部分のこと)が決まっていて、それに合った5・7・5をつけるものとなっています。

大喜利的な楽しさがあるためか、読まれている内容は社会風刺のようなものがとても多いです。

さらに、俳句・川柳と短歌の違いとして数え方も挙げられます。
俳句と川柳は一句、二句・・・と数えますが、短歌の場合は一首、二首・・・と数えます。

とても細かいことですが、混同しないように注意しましょう。

初心者でも安心!短歌の作り方

ここからは実際に短歌を作る方法をご紹介。

短歌を作る方法には次の2種類があります。

方法① エピソードをまとめてから作る

1つ目の方法が、自身でまとめたエピソードから作る方法です。

短歌というものは先述したように短い31音の中に様々な思いを込めるものであるため、自分の身の回りで起こったことや感じたことから作るととても作りやすいです。

エピソードをまとめてから作る場合は、まず短歌にしたいエピソードを散文(小説や日記のような普通の文章)にします。

例えば、以下のような形にまとめるとよいでしょう。

ここから印象に残った場面や気持ちを切り取って短歌にします。

例えば「三ヶ月経った今の方が別れた直後よりも寂しさが身に沁みて、一緒に行動したことをいろいろと思い出してしまいます」という部分を歌にしてみたのがこちら。

この時、できるだけ具体的な場面や事柄を入れると、短歌を読んでいる人が実際の情景を思い浮かべられる歌になります。

例えば、「いろいろと思い出してしまいます」の部分の具体的なエピソードを掘り下げて作ってみると以下のようなより奥深い作品を作り上げることができます。

また、気持ちを短歌にする際に色々と書きたいことがあるかと思いますが、短歌では「寂しい」「嬉しい」といった気持ちを直接表現する言葉はなるべく入れない方が良いとされています。

そのため、改作後の歌のように直接的な表現ではなく、情景と言葉の響き合いから気持ちを表現すると膨らみのある短歌ができます。

方法② 題詠をもとに作る

2つ目の方法が題詠から作る方法です。

あらかじめ題を決めておいて、その題に沿った短歌を作ります。

題があることで歌の幅が狭まってしまうこともありますが、一方で与えられた題が短歌を作る鍵になるケースもあります。

では実際に「待つ」を題として短歌を作ってみます。

信号待ちの時間を表現した短歌になっていますが、「どんな季節なのか」「どんな場所なのか」といった具体的なものを入れるとよりよくなります。

そこで改作したのがこちらです。

具体的な「春風」という言葉を入れることで歌に季節感が出ました。
また、「小学生も 君も私も」とすることで歌にドラマ性ができました。

短歌では必ずしも出来事を正直に書く必要はありません。
少し脚色を加えることでドラマ性のある短歌を作り上げることができます。

短歌を作るときのポイント

季語や切れ字は必要ない

短歌初心者の中には、「季語や切れ字を入れなくちゃ!」と思われる方も多いです。

季語とは例えば「菜の花」や「雪」、「蝉」といった季節を示す語として歌中に詠み込むよう定められた語のこと。一方、切れ字は「かな」「けり」といった句の意味を切る働きをする語を指します。

確かに俳句なら季語や切れ字が必要です。

しかし、短歌では必ず季語や切れ字を入れなくてはなららないルールはないため、季語や切れ字にこだわることなく自由に作って問題ありません。

要素を詰め込みすぎない

短歌を作っているうちに色々表現しようとして、要素を詰め込みすぎてしまう場合がありますが、要素が多すぎると何が言いたかったのかわからなくなってしまいます。

そのため、短歌を作るときには一番伝えたい部分を残してあとは省略しましょう。

書かなくても意味が伝わることはカットしてOK

例えば、家族旅行中の昼食時のできごとを短歌にしようと思った際、短歌に出てくる登場人物やできごとだけで家族旅行中のエピソードだとわかる場合は、「家族旅行」といった言葉は必要ありません。

このように、短歌では書かなくても意味が伝わることはカットしてもよいです。

短歌作りを続けていくための秘訣

短歌はどんどん作り続けるのが良いですが、なかなか続けるのが難しく、中には挫折してしまう方もいるでしょう。

そこで、短歌作りを続けていくための秘訣をいくつか解説します。

普段から短歌作りを意識する

短歌はいきなり作れるものではなく、いざ作ろうと思ってもエピソードが思い浮かばないこともあります。

そのため、普段から「これ短歌にできるのでは?」という姿勢で生活していると色々な短歌を作りやすいです。

また、短歌はふとしたセリフやフレーズからどんどん考えを膨らませることで完成する場合も多いため、メモなどを持ち歩くのもおすすめです。

多くの短歌に触れる

短歌を続けるためには、色々な短歌を読んで手法や発想を知ることも大切です。

例えば、アンソロジーや歌集では色々な歌人の短歌が掲載されており、一冊読むだけでも様々な手法や発想を学ぶことができるので、どんどん作れる短歌の幅を広げることができるでしょう。

発表の場をもうける

せっかく短歌を作ったのなら、どこかで発表するとよいです。

歌会に参加したり雑誌の選歌欄に申し込んだり、ハードルが高い場合にはTwitterで発信するのがおすすめです。

発表の場を作ることでモチベーションが維持できますし、ものによっては同じく短歌を作っている人同士で交流することもできます。

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