チェッカーズのラストライブは一瞬たりとも隙がない! ~「伝説のコンサート」原田Pインタビュー~

チェッカーズのラストライブは一瞬たりとも隙がない! ~「伝説のコンサート」原田Pインタビュー~

「ギザギザハートの子守唄」「涙のリクエスト」…多くのヒット曲を連発し、日本のポップスシーンを席巻した伝説のバンド・チェッカーズ。人気絶頂の中、約10年間の活動に終止符を打って30年。20221月、NHKBSの番組「伝説のコンサート」において日本武道館で開催された「FINAL TOUR」最終日の映像を最新技術のリマスターにより、高画質・高解像度に仕上げて放送、529日には全国37スクリーンで一夜限りの劇場上映として公開され、大きな話題となった。

そんな大反響を呼んだチェッカーズのラストライブの映像「THE CHECKERS FINAL TOUR SPECIAL」を79日(土)からNHKグループモールで配信する。ラストライブに加え、配信限定のチェッカーズの歴史を綴る特典映像「THE CHECKERS MEMORY」は劇場上映で公開された20分から約1時間に大幅拡大される。

今回、日本を代表するアーティストのライブ映像を高画質で放送しているNHKの音楽番組「伝説のコンサート」チーフ・プロデューサー原田秀樹さんにインタビュー。番組が生まれたきっかけや制作意図、配信されるチェッカーズ映像の見どころ、チェッカーズのラストステージとなった1992年「第43 NHK紅白歌合戦」エピソードなどを聞いた。

――「伝説のコンサート」は、どんな経緯ではじまったのでしょうか。

原田:コロナの影響でライブやコンサートができなくなっていた時期にBSプレミアムらしい音楽コンテンツを開発してほしいという相談が来たんです。そして、ちょうど同じ時期に過去の古い映像を高画質化するNEPビデオレストアサービスの活用も高まってきていました。

――NEPビデオレストアサービスは、素材が持つ本来の質感も甦らせる先端技術だそうですね。

原田:NEPビデオレストアサービスでは、技術者と制作者が映像をひとコマひとコマ、ワンシーンずつ見ながら当時の映像の質感を甦らせる作業を行っています。このシーンにはどんな意図があるのか、どういう風に見せることでこの演出が映像として成立するのか。きめ細かく検討して仕上げています。

ファンの方にちゃんと納得してもらえるようなクオリティに仕上げなきゃいけない。ファンのみなさんの愛情を背負っているからこそ無責任な作業はできないです。そのプレッシャーは大きいですね。

――『伝説のコンサート』の第1回放送(2020年10月)は山口百恵さんの引退コンサート「山口百恵 1980.10.5 日本武道館」でした。そのあと、キャンディーズ、チューリップ、西城秀樹、チェッカーズ、尾崎豊、中森明菜、RCサクセションの貴重なライブ映像を美しい画質で次々と放送。どういった想いで制作しているのでしょうか。

原田:80年代、90年代はカリスマ的なアーティストがたくさんいました。もちろん今でもいるんですけど。当時のライブ映像という意味では黎明期だったと思うんですよね。ファンにとって大好きだったアーティストのライブの印象って強烈に鮮明に残っているわけじゃないですか。でも、その当時のライブ映像を今の映像スペックが進んだ時代にそのまま見せられたとしたら、ちょっとがっかりする…残念な映像のはずなんです。

そもそもの「伝説のコンサート」の企画意図としては、ライブ映像が鮮明に心の記憶で残っているファンの方も当時ライブを体験できなかった人もひっくるめて、今の観賞に堪える仕上がりにしてお届けしたい。どれだけ皆さんに感動していただけるか、どんなコンサートだったら見たいのかということを考えて制作していますね。

――チェッカーズの劇場上映会に足を運ばれたそうですね。

原田:本当に映像が美しくて映画を見ているみたいでした。もともと映画館で上映するために作られたんじゃないかというぐらいのクオリティで。ラストライブは3時間というとても長いショーなんですけど、ぜんぜん飽きることがなかった。演奏しながらさまざまなパフォーマンスをする演出もおしゃれでしたし、メンバー全員存在感がある。ああいうグループってないですよね。

チェッカーズはたった10年しか活動していない。一番アーティストのオーラがあるときにスパッとやめちゃう潔さとか儚さとかも映像に詰まっていたような気がします。上映中に涙ながらにご覧になっている方がいたり、上映後に放心状態になっている方もいたりしました。上映会の後、ファンの方たちが夜中までずっとSNSで盛り上がっていたんです。それを見て改めて責任ある仕事をしているなと身が引き締まりましたね。

――チェッカーズが最後に出演した紅白歌合戦の現場にいらっしゃったそうですね。

原田:1992年の「第43 NHK紅白歌合戦」ですね。ステージの下にあるオケピットという場所にいて、出演するバンドやミュージシャン周りの仕事を担当していました。当時紅白歌合戦を観覧されるお客さんにはどこか緊張感が漂っていたんですよね。普通の番組だったら出演者がギャグっぽいことを言ったら、笑ったりするんですけど。紅白の現場ってちょっとセレモニーっぽいというか、特別なイベントを心して見に来ましたみたいな感じがありました。

毎週のようにNHKホールで前説をやっていたんですが、紅白歌合戦が始まる前に同じような感じでやったらぜんぜんウケてくれない(笑)。そんな緊張感があった紅白で印象に残っているのが最後のチェッカーズのステージ。彼らの出番が終わって、次のコーナーが始まっても歓声がずっと鳴りやまなかったんです。武道館での解散ライブのあと、本当に本当の最後のパフォーマンスが紅白歌合戦でしたから。

――改めて、7月に配信される映像の見どころをお願いします。

原田:全部と言えば全部なんですけど(笑)。チェッカーズの解散ライブだからこれが最後の最後、一分一秒すべてが貴重な瞬間なわけですよね。メンバーひとりひとりのいい表情を一瞬たりとも逃すまいと何台ものカメラが追いかけていて、ミスショットにしないように気合を入れて撮っている。そんなカメラマンの気合、気迫がすごく伝わってきました。映像のワンカットワンカットが一枚絵として強く訴えかけてくるんです。

そして、その映像をファンの人たちがちゃんと納得してくれるように愛情込めて丁寧に編集されている。それは編集した人のセンスもあったんでしょうけど。でも、何よりもパフォーマーのチェッカーズが素晴らしかった。ラストライブでのチェッカーズは一瞬たりとも隙がなかったですね。

◆プロフィール

原田秀樹(はらだひでき)
(株)NHKエンタープライズ 第4制作センター エンターテインメント部 部長

1990年NHK入局
プロデューサー/ディレクターとして音楽番組などの制作に携わる
おもな担当番組「紅白歌合戦」「SONGS」「うたコン」「シュガー&シュガー」「ワルイコあつまれ」など

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