*この記事は2023年7月開幕の東京・上野の国立科学博物館のレポートになります。
東京・上野の国立科学博物館で特別展「海 ―生命のみなもと―」が開幕しました。
2013年、2017年の「深海」に続く国立科学博物館&海洋研究開発機構の特別展第3弾となる今回の見どころは、高さおよそ4.7mのナガスクジラの上半身の標本や、海洋研究開発機構の無人探査機「ハイパードルフィン」の実機の初展示など、ワクワクする展示が盛りだくさん。
私たちの身近にある海が、いかに私たちの生活に深く関わっているかを体感できる展示となっています。
そのなかでも特に注目したいポイントをご紹介します。お子さんの自由研究にもおすすめです!
目次
1. 特別展「海 ―生命のみなもと―」とは
2. 公式ナビゲーターは、桝太一さん
3. 特別展「海 ―生命のみなもと―」の見どころ
3-1. 「海の起源がわかる!小惑星リュウグウの粒子」
3-2. 「世界で唯一!白いチムニーのある熱水地域」
3-3. 「高さ約4.7m!ナガスクジラの上半身標本」
3-4. 「世界最古!2万3千年前の釣り針」
3-5. 「初展示!無人探査機ハイパードルフィン」
3-6. 「水深2000mのトップ・プレデター!ヨコヅナイワシ」
4. 公式図録・グッズの紹介
5. 開催概要
特別展「海 ―生命のみなもと―」とは
海の誕生、生命の始まりから、さまざまな生物と人と海の関わりの歴史。そして、海洋環境問題への現在の取り組みと、海との共存を考えます。
公式ナビゲーターは、桝太一さん
桝太一さん(現・同志社大学助教)は、学生時代に海洋生物を学び、現在はサイエンス・コミュニケーションを研究。本展の公式ナビゲーターに就任し、音声ガイダンスでわかりやすく解説してくれます。
特別展「海 ―生命のみなもと―」の見どころ
「海の起源がわかる!小惑星リュウグウの粒子」
最初の展示は、小惑星探査機「はやぶさ2」が採取した小惑星リュウグウの粒子。小惑星リュウグウは太陽系が形成される前の特徴を持っています。
この粒子から有機物(炭素、酸素、窒素など)のほか、水の存在も明らかとなり、地球や海の起源を知るヒントとなっています。
「世界で唯一!白いチムニーのある熱水地域」
煙突のような物体は、大西洋の海底にある白いチムニーを再現したジオラマ。スイスで保管されている貴重な実物も展示されています。
チムニーとは「熱水噴出孔」のことで、海底で熱水が噴出。熱水に溶けていた鉱物が海水で冷やされ沈殿し、煙突(チムニー)のようなものが形成されます。
2001年に大西洋で初めて白いチムニーが発見され、その成分から約38~35億年前に初期生命が誕生した場ではないかと考えられています。
「高さ約4.7m!ナガスクジラの上半身標本」
実物大のナガスクジラの標本は、上半身だけでも迫力満点!
このブースでは、近年の研究で明らかとなった「ホエールポンプ」の説明もわかりやすく展示しています。
ホエールポンプとは、クジラなどの大型生物が深海まで餌生物を捕食するために潜り、呼吸のために海面に浮上するという縦の動きをすること。
この動きが、海の生態系を支えているのです。
ナガスクジラ上半身標本(所蔵:国立科学博物館)
「世界最古!2万3千年前の釣り針」
沖縄県の洞窟で、2012年に発見された世界最古の釣り針。
旧石器時代といえば石槍のイメージが強いですが、この時代にも人類が釣りをし、海と深い関わりがあったことがわかります。
サキタソ洞出土遺物(所蔵:沖縄県立博物館・美術館)
「初展示!無人探査機ハイパードルフィン」
深海を調査する無人探査機「ハイパードルフィン」は、深度4500mまで潜ることができ、岩石、泥、生物の採取、実験機器の操作など多種多様かつ複雑な作業を海底で行っています。
また、NHKと共同開発したハイビジョンカメラが搭載され、深海の生物や、複雑な海底地形、海底火山などの貴重な映像も収録。
ほかにも、南海トラフ地震・津波観測システムにも貢献しています。
無人探査機「ハイパードルフィン」(所蔵:海洋研究開発機構)
「水深2000mのトップ・プレデター!ヨコヅナイワシ」
深海の生態系の健全性の指標となるのが「ヨコヅナイワシ」。
イワシといってもその大きさは、今回展示しているもので1.4m、体重25kg。映像でとらえたものでは、推定2.5mとされる大きな魚。ヨコヅナイワシが生息する、駿河湾最深部での食物連鎖の頂点に立つ「トップ・プレデター」です。
トップ・プレデターは、生態系の維持に重要な役割をしているため、ヨコヅナイワシをモニタリングすることで、深海底の海洋保護区内の健全性を評価する指標となっています。
ヨコヅナイワシ(所蔵:海洋研究開発機構)
公式図録・グッズの紹介
「公式図録」
きれいな表紙を開くとそれはもう図録というより図鑑。さまざまな研究のお話や先生たちのお話、写真をふんだんに使った、これ1冊で「海」がもっと理解できる本です。
オールカラー200ページ、2,600円(税込)です。
「グッズ」
本物よりも愛くるしいぬいぐるみや、Tシャツ、お菓子など、つい欲しくなってしまう海にまつわるグッズが、ところ狭しと並んでいます。
スネイルフィッシュ、センジュナマコ、ダイダラボッチのぬいぐるみや、メガマウスとスネイルフィッシュのキーチェーンなど。
ハンギョドンのTシャツとステッカー、クリアファイルも!
おせんべいやクッキーなど、おみやげに買いたくなるお菓子、コーヒーなども充実。
出口にあるカプセルトイも、海にまつわるラインナップとなっています。
※各商品の在庫には限りがあります。また商品のラインナップなどは会期中に変更となる場合がありますのでご注意ください。
開催概要
■会期:2023年7月15日(土)〜10月9日(月・祝)
■会場:国立科学博物館(東京・上野公園)
■開館時間:9時~17時(入場は16時30分まで)
※ただし、8月11日(金・祝)~8月20日(日)は19時まで開館(入場は18時30分まで)。常設展示は8月11日(金・祝)~8月15日(火)は18時まで。それ以外の期間、常設展示は17時まで(入場は各閉館時間の30分前まで)
■休館日:9月4日(月)・11日(月)・19日(火)・25日(月)
※展覧会は終了しました。
【関連商品】
特別展「海 ―生命のみなもと―」公式図録 2,600円(税込)
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◆レポート/ライター
亀井惠美子(かめい・えみこ)
東京都生まれ。出版社勤務を経て、フリーの編集・ライターとして活動。主に女性誌やインタビュー記事など。趣味はエンタメ(舞台・ドラマ・映画)鑑賞。
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