生息数推定2000~2499頭の絶滅危惧種に指定されているミニカバ。“世界三大珍獣”(他はパンダ、オカピ)の一種とも言われています。本記事では、ミニカバの生態や魅力、ニフレルのミニカバ「テンテン」について写真や動画と共にご紹介!その他にも、ニフレルで開催中のイベントについても深掘りしてお伝えします。
目次
1. ニフレルで生まれたミニカバ「テンテン」2. 飼育の工夫について
3. ニフレル 過去の人気イベント
4. ミニカバとは
5. 生きているミュージアム ニフレルに行こう!
1. ニフレルで生まれたミニカバ「テンテン」
大阪の海遊館がプロデュースしたことで話題の生きているミュージアム 「NIFREL(ニフレル)」。2021年6月にミニカバのテンテン(メス)が誕生しました。飼育のエピソードや魅力を、キュレーターの澤さん・広報の渋谷さんにお話を伺いました!
■名前はどうやって決まったの?
澤さん「名前は約1か月間、一般募集を実施しました。毎週集計を行いながら、応募総数5,354通の中から候補を絞り、キュレーターの中で投票を行いました。名前の由来は『おてんば娘』で、元気に走りまわる足跡が『点点』とつながるように、その愛らしさでお客様と生きものをつないでほしい、という思いを込めました。」
■食事について
澤さん「ミニカバは生後3か月で離乳が進み、草や葉野菜が食べられるようになります。赤ちゃん時期は顎の力や歯が発達してなかったので、ニンジンやサツマイモなど固い野菜は好きじゃなさそうでしたね。吐き出すこともありました。草食動物はお腹が空いたら食べるのを繰り返す動物なので、食事の量やバランスは考えながら与えるようにしています。」
■ドキドキの初散歩!
ニフレルではテンテンの誕生以降、母親のフルフルが落ち着いて子育てできるよう、ミニカバ展示エリアのガラスをシートで目隠しし、親子の様子をガラス前に設置した大型モニターのライブ映像で見られるようにしていました。そんな非公開状態の展示エリアで、初めてテンテンがお散歩したときのエピソードを伺いました。
澤さん「生まれたすぐ次の日ということもあり、どんな行動をするのか予測もできず、すごく緊張しました。心配とは裏腹にテンテンはお母さんについていって、物怖じしてない様子でしたね。散歩時間は10分~15分程度だったんですが、テンテンを注意深く観察したり、空いた寝室エリアを大急ぎで片づけたりなど、たくさんのスタッフが短い時間でバタバタと動きました(笑)。」
目隠しされたミニカバ展示エリアのガラス
■テンテンの魅力
最近のマイブームは展示ガラスの方に向かって泳ぐことだというテンテン。お母さんのフルフルも同じような行動をしていたんだとか。そんなテンテンの魅力は?
渋谷さん「やはり名前の由来にもなっている『おてんば娘』なところですかね。名前を付ける前からキュレーターの中で『おてんば』っていう印象が強くて、今日までずっとその印象が変わらないんです。トコトコ走ったり、木の間を無理やり抜けていったり。」
澤さん「ほかにも段差を無理やり乗り越えようとしたり、お母さん用のシャワーを自分で浴びに行ったりとか…結構やんちゃな性格ですね。可愛らしいです。」
■テンテンの家族紹介!
★テンテンのお父さん:モトモト(オス)
2013年7月9日にチリのブイン動物園で誕生。おっとりした性格。
★テンテンのお母さん:フルフル(メス)
2012年12月17日にシンガポール動物園で誕生。面長でのどのあたりがピンク色なのが特徴。
★テンテンの兄:タムタム(オス)
2019年2月21日にニフレルで誕生。現在は神戸どうぶつ王国(兵庫県・神戸市)で見ることができます。
★テンテンの妹:ネムネム(メス)
2023年8月17日にニフレルで誕生。名前の由来は8月17日の誕生花「"ネム"ノキ」と、ぐっすりと"ねむ"る姿から名づけられました。
2. 飼育の工夫について
■出産時のケア
お母さんのフルフルは約200日の妊娠期間、5時間におよぶ出産だったとのこと。フルフルに対するケアや、出産時のエピソードを伺いました。
澤さん「妊娠時はフルフルの体重の変化にすごく気を遣いました。体重が増えるとお母さんのフルフルに負担がかかるのと、太りすぎてしまうと難産になる傾向があるので、体重や食生活には注意を払いました。テンテンが産まれてからは、母乳をしっかり飲めているか、体重が増えているかどうかというのも注意して見ていました。」
■ハズバンダリ―トレーニング
ハズバンダリートレーニングは、餌やおやつをもらう直前の行動は良いことなんだ!大事なんだ!と覚えさせて、健康管理に関わることを学習させる訓練です。訓練時の様子を伺いました。
澤さん「最初はターゲットトレーニング(誘導のトレーニング)から始めました。手のひらに鼻先をタッチしてもらうというトレーニングなんですが、テンテンは頭の回転が速いのか、覚えるのがすごく早かったですね。」
ほかにもニフレルでは、キュレーター同士で毎日日誌を書き、日々の成長記録や情報共有をしているそうです。
3. ニフレル 過去の人気イベント
■『テンテンスペシャルキュレーターカフェ』
2022年10月10日(10月10日=テンテンの日!)、テンテンがお母さんのフルフルのおなかにいる時から成長を見守り、誕生してからもずっとお世話をしているキュレーターによる『テンテンスペシャルキュレーターカフェ』が開催されました。テンテン誕生までの裏話や、参加者限定でテンテンへの寄せ書きなどが作成されました。
キュレーターカフェで参加者が作成したテンテンへの寄せ書き
キュレーターカフェで参加者にお見せした記録の資料
4. ミニカバとは
「ミニカバ(コビトカバ)」は、カバ科コビトカバ属に分類される鯨偶蹄類。西アフリカのごく限られた熱帯雨林に生息し、パンダ、オカピと並ぶ世界三大珍獣の1つと言われています。平均寿命は飼育下で約40~55年。草食性で、木の芽や葉、果実を食べます。
■ミニカバとカバとの違い
ミニカバとカバとの大きな違いは顔の形と体重。カバは四角形に近く、ミニカバは洋梨型。さらにカバの目は突出していて横向きについていますが、ミニカバの目は突出がなく前の方についています。体重はミニカバが200~250キロ程度なのに対し、カバはトン単位となっており、ミニカバはカバの10分の1程度の体重となっています。
またカバは集団で生活するのに対し、ミニカバは単独で生活します。生息環境も異なり、カバは川の近くの開けた場所、ミニカバは森林で生活します。
■オスとメスの見分け方
オスとメスで一番違うのは尻尾の先。オスは尻尾の先の毛が長めなのに対し、メスは短めとなっています。またミニカバは、オスの縄張りがメスに比べて2倍近くあるともいわれています。
■絶滅の危機
ミニカバは現在、IUCN(国際自然保護連合)によると、西アフリカの限られた地域に、わずか2,000~2,499頭 のみが生息し、IUCNのレッドリストで絶滅危惧種に分類されています。また、ワシントン条約の付属書Ⅱに 掲載され、世界的に保護されています。
■日本ではどこで見られるの?
「ミニカバ(コビトカバ)」は、NIFREL(ニフレル)のほか、上野動物園や東山動物園、いしかわ動物園、神戸どうぶつ王国で飼育・繁殖がおこなわれています。
5. 生きているミュージアム ニフレルに行こう!
ニフレルは水族館と動物園、美術館を融合した、子供から大人まで幅広い世代の感性を豊かにする「生きているミュージアム」です。“感性にふれる”をコンセプトに、地球が育む多様ないのちと個性を、今までにない造形物や空間、照明、映像、音楽と融合する空間展示「インスタレーション」を用いて表現し、子どもはもちろん大人の感性をも刺激し心を豊かにします。
ミュージアム内は、水生生物や陸生生物など「いろ」「わざ」「うごき」など個性をテーマに分けて展示。今回ご紹介したミニカバのほかに、ホワイトタイガーやアメリカビーバー、コツメカワウソなど、魚をはじめ爬虫類や両生類、陸上の哺乳類や鳥類まで約120種、約1000の生物を見ることができます。
生きものの美しさ・不思議さを直感的に楽しむことができる「ニフレル」に、ぜひ足を運んでみてくださいね。
■生きているミュージアム 「NIFREL(ニフレル)」
〒565-0826 大阪府吹田市千里万博公園2-1 EXPOCITY内ニフレル
TEL:0570-022060(ナビダイヤル)電話受付時間:開館30分前から閉館時刻まで
詳しくは公式サイトをご確認ください。
*2024年2月取材時の情報です。
■現在開催中のイベント:「あなたも愉快な生きものだ!展」
絵本を中心に多彩な活動を続けるユニット tupera tupera (ツペラ ツペラ) のオリジナル作品と、デザインチーム minna(ミンナ)による空間プロデュースで彩る「あなたも愉快な生きものだ!展」。子どもも大人もみんなで参加できる企画展となっています。
企画展では、生きものと人の共通点をテーマにした、tupera tuperaの新作約40点がニフレル館内に出現。合わせて、生きものパーツを自由に組み合わせてお面を作り、愉快な生きものになるワークショップも開催されます。
会期:2024年3月6日(水)〜2025年1月13日(月・祝)
会場:NIFREL(ニフレル)
料金:ニフレル入館料…大人(高校生/16歳以上)2200円、こども(小・中学生)1100円、幼児(3歳以上)650円
※「あなたも愉快な生きものだ!展」のワークショップは別途参加費(ひとり1000円、ペア1800円)が必要です
公式サイト:https://www.nifrel.jp/
■みんなのダーウィン!どうぶつえん すいぞくかん
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