建立900年 特別展「中尊寺金色堂」図録の楽しみ方

建立900年 特別展「中尊寺金色堂」図録の楽しみ方

東京国立博物館 本館にて、建立900年 特別展「中尊寺金色堂」が開催されています。岩手県平泉市にある世界遺産・中尊寺金色堂の建立900年を記念した本展。中央壇上11体の国宝仏像、最先端技術8KCGで再現された原寸大の金色堂が見られるなど興味深い展示内容で話題を集めています。

中尊寺金色堂の“歴史的な特別展”の内容を網羅した図録も必見。本展の内容を網羅した概要、ページをめくるたびに心をくすぐる凝ったレイアウトの数々、奥州藤原四代への想いも詰まった図録の魅力をご紹介します。

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>>建立900年 特別展「中尊寺金色堂」公式図録 2,800円(税込)

目次

特別展「中尊寺金色堂」の内容を網羅した図録

建立900年 特別展「中尊寺金色堂」公式図録

建立900年 特別展「中尊寺金色堂」公式図録 中尊寺金色堂の特別展の図録らしく落ち着いたゴールドを表紙や目次ページ、図版トップページなどに使用。本展展示作品50件の図版は今回のためにフルカラーで撮りおろしています。奥州藤原氏の歴史や金色堂建立の経緯、仏像の安置位置などに関するコラムや展示物の詳細な作品解説、金色堂関連の略年表も掲載。

中尊寺にある弁財天堂や経蔵の四季折々の風景や四代泰衡ゆかりの中尊寺蓮の美しい画像もあり、他の図録とは異なった日本情緒あふれるガイドブック的な要素も。価格は2,800円(税込)、仕様はA4変形、178ページ。

金色堂の絢爛豪華な美で目を奪う図録表紙カバー


建立900年 特別展「中尊寺金色堂」公式図録 表紙カバー

ページを開く前に見入ってしまうのが美麗すぎる表紙カバー。表紙おもて面とうら面で今回上野にて公開中の奥州藤原氏の初代清衡が眠るとされる中央壇をとらえています。

国宝「阿弥陀如来坐像」を中心に右に国宝「観音菩薩立像」、左に国宝「勢至菩薩立像」。右前に国宝「持国天立像」、左前に国宝「増長天立像」。両脇に国宝「地蔵菩薩立像」が並ぶ配置。まさに極楽浄土を思わせる唯一無二の皆金色の至宝を収録する図録の顔といえるカバーです。


建立900年 特別展「中尊寺金色堂」公式図録 表紙カバー 全景

さらに表紙カバーを開くと、今回上野で公開している中央壇以外の二代基衡、三代秀衡、四代泰衡が眠る2つの須弥壇が出現します。右が西北壇、左が西南壇。展示会場では揃わなかった3つの須弥壇が図録の表紙カバーで揃うエモい仕掛けに。さらに図録では西北壇と西南壇に11体ずつ配置されている仏像の画像も収録しています。


建立900年 特別展「中尊寺金色堂」公式図録 表紙・裏

仏像たちはもちろん、諸像を囲む巻柱や長押のきらびやかな螺鈿と蒔絵の繊細なデザインにも注目。清衡が金色堂を建立する際に平和への願いを込めて現世の極楽浄土を表現しました。模様や絵のひとつひとつに想いが込められていると思うと時間を忘れて見入ってしまうでしょう。

 

心を躍らせるワイド版&超拡大レイアウト


建立900年 特別展「中尊寺金色堂」公式図録 P50-P52 国宝「観音菩薩立像
(平安時代・12世紀 岩手・中尊寺金色院蔵)」

展覧会で見えづらかった方、または足を運べなかった方でも自宅でじっくり鑑賞できるのが図録のよいところ。例えば国宝「観音菩薩立像」は見開き+1ページの合計3ページを使って180度の見え方を紹介しています。


建立900年 特別展「中尊寺金色堂」公式図録 P78-P80 国宝「観音菩薩立像(平安時代・12世紀 岩手・中尊寺金色院蔵)」

さらに現地や会場では実現されない、図録上だけのレイアウトも楽しみのひとつ。平泉、会場ともに3体ずつ阿弥陀如来をはさんで並んでいる国宝「地蔵菩薩立像(平安時代・12世紀 岩手・中尊寺金色院蔵)」。図録では6体が横並びで鎮座するというここでしか見られない光景が見られます。


建立900年 特別展「中尊寺金色堂」公式図録 P81-P83 (左)国宝「増長天立像(平安時代・12世紀 岩手・中尊寺金色院蔵)」(右)国宝「持国天立像(平安時代・12世紀 岩手・中尊寺金色院蔵)」

勇壮な躍動感が目を引く国宝「増長天立像(平安時代・12世紀 岩手・中尊寺金色院蔵)」と国宝「持国天立像(平安時代・12世紀 岩手・中尊寺金色院蔵)」も3ページのワイド版で紹介。

今回オリジナルグッズにもなっている邪鬼も超拡大されており、ユニークな表情を存分に見ることができます。この二天像も平泉、会場ともにぴったり並んで展示されていないのでじっくり見比べられるのもよいですね。

建立900年 特別展「中尊寺金色堂」公式図録 P46-P47 国宝「阿弥陀如来立像(平安時代・12世紀 岩手・中尊寺金色院蔵)」

超拡大といえば、国宝「阿弥陀如来立像(平安時代・12世紀 岩手・中尊寺金色院蔵)」、国宝「増長天立像(平安時代・12世紀 岩手・中尊寺金色院蔵)」と国宝「持国天立像(平安時代・12世紀 岩手・中尊寺金色院蔵)」のページを大胆に使ったド迫力の画像も見ごたえ抜群。会場では気づけなかった魅力を発見できるかもしれません。


建立900年 特別展「中尊寺金色堂」公式図録 P86-P87 (左)
国宝「増長天立像(平安時代・12世紀 岩手・中尊寺金色院蔵)」(右)国宝「持国天立像(平安時代・12世紀 岩手・中尊寺金色院蔵)」

上野の展覧会の展示物解説はもちろん、平泉の金色堂にある仏像や中尊寺も意識。現地へ誘うような要素もある図録。900年にわたって金色堂へ捧げられた平和への祈り、そしてこれから末永く継承されていく清衡の願いも込められています。

建立900年 特別展「中尊寺金色堂」概要

■会期:2024年1月23日(火)~4月14日(日)
会場:東京国立博物館 本館 特別5室
■開館時間:午前9時30分~午後5時
※2月9日(金)から、毎週金曜日と土曜日は午後7時まで
※入場は閉館の30分前まで

■休館日:月曜日、2月13日(火)
※ただし、2月12日(月・休)、3月25日(月)は開館
■観覧料(税込):一般 1,600円 大学生 900円 高校生 600円
※中学生以下、障がい者とその介護者1名は無料。入館の際に学生証、障がい者手帳等をご提示ください。
公式サイト:https://chusonji2024.jp/

※展示作品、会期、開館時間、休館日、入館方法等については今後の諸事情により変更する場合があります。最新情報は公式サイト等でご確認ください。
※事前予約不要です。混雑時は入場をお待ちいただく可能性がございます。

 中尊寺金色堂は藤原清衡(1056~1128)によって建立された東北地方現存最古の建造物で、2024年に天治元年(1124)の上棟から900年を迎えます。これを記念して開催する本展では、堂内中央の須弥壇に安置されている国宝の仏像11体を一堂に展示するほか、かつて金色堂を荘厳していた国宝・金銅迦陵頻伽文華鬘(こんどうかりょうびんがもんけまん)をはじめとするまばゆいばかりの工芸品の数々をご紹介します。また、会場内の大型ディスプレイでは8KCGで原寸大に再現された黄金に輝く金色堂とその内部を間近にご覧いただけます。世界遺産・平泉の迫力のある文化と歴史の粋をどうぞお楽しみください。

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■建立900年 特別展「中尊寺金色堂」公式図録 2,800円(税込)

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◆レポート/ライター
高田りぶれ(たかだ・りぶれ)

山形県生まれ。ライターなど。放送作家のキャリアを生かし、テレビ・ラジオ番組のおもしろさを伝える解説文を年間150本以上執筆。趣味は観ること(プロレス、サッカー、相撲、ドラマ、お笑い、演劇)、遠征、料理。

 

         
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