特別展「古代メキシコ ―マヤ、アステカ、テオティワカン」見どころからグッズまで徹底レポート!

特別展「古代メキシコ ―マヤ、アステカ、テオティワカン」見どころからグッズまで徹底レポート!

前15世紀から後16世紀のスペイン侵攻に至るまでの間、古代メキシコではたくさんの文明が開花したと伝えられています。
数ある文明の中でも代表的なのが、マヤ文明・アステカ文明・テオティワカン文明の3つ。

その3つの文明に焦点を当てた特別展「古代メキシコ -マヤ、アステカ、テオティワカン」が、2023年6月16日より東京国立博物館の平成館で開幕しました。

メキシコ国内とアメリカ以外で初めて公開される通称「赤の女王」(スペイン語でレイナ・ロハ)の墓の出土品をはじめ、古代メキシコの至宝約140件が一挙に集結した本展。

今回は、特別展「古代メキシコ -マヤ、アステカ、テオティワカン」の見どころを詳しくご紹介します。

目次

1. 巨大スクリーンで古代メキシコの世界観を表現
2. 異なる3つの文明に共通するテーマ
2-1. 重要な食糧源である「トウモロコシ」
2-2. 3000年以上にわたっておこなわれた「人身供犠」
3 3つのピラミッドから謎に満ちたテオティワカン文明を紐解く
3-1. キービジュアルにもある「死のディスク石彫」を展示
3-2. 羽毛の蛇ピラミッドをリアルに体感
3-3. 古代人が掘ったトンネル内部を再現
4. たくさんの出土品と研究から明らかになったマヤ文明
4-1. 解読が進んでいるマヤ文字の碑文
4-2. 日本初公開「赤の女王」の墓の出土品
5. アステカ文明の優れた彫刻品を紹介
6. 図録をはじめグッズも充実!
7. 特別展「古代メキシコ ―マヤ、アステカ、テオティワカン」開催概要

巨大スクリーンで古代メキシコの世界観を表現

展覧会の最初のエリアでまず目を引くのが、入り口の正面に設置された巨大スクリーン。
このスクリーンではNHKが撮影した各文明の遺跡の映像を常時放映。

テオティワカン文明の代表的な遺跡である太陽のピラミッドと月のピラミッドや、マヤ文明のパレンケの遺跡、アステカ文明の発掘現場などを見ることができ、まるで現地にいるかのような臨場感を味わうことができます。

太陽のピラミッド

異なる3つの文明に共通するテーマ

焦点となる3つの文明はそれぞれ起こった場所も時期も全く異なります。

文明の名前

文明が起こった時期

文明が起こった場所

マヤ文明

前12世紀ごろ

マヤ地域

アステカ文明

14世紀

メキシコ中央高原

テオティワカン文明

前1世紀

メキシコ中央高原

ただ、一方で多様な自然環境のもとで培われた共通テーマも存在しており、最初のエリアではその共通テーマに沿って横断的な作品を展示しています。

展示室内の様子

重要な食糧源である「トウモロコシ」

では、どんなものが3つの文明の共通テーマとなっているのか。
その1つが「トウモロコシ」です。

古代メキシコの文明が栄えたメソアメリカにおいて、トウモロコシは最も重要な食糧源でした。そのため、各文明の遺跡からはトウモロコシに関連する出土品が発掘されています。

その1つが、こちら。

チコメコアトル神の火鉢(複製)、メキシコ国立人類学博物館

チコメコアトル神とは熟したトウモロコシの女神の名前で、メキシコ中央部の農民が最も崇拝した神のこと。

こちらの火鉢の原品はアステカ文明のもので、この女神像は数多く作られています。

他にも、テオティワカン文明の遺跡から出土した、トウモロコシの実を挽く台の石皿や実をすりつぶすための石棒なども展示されています。

3000年以上にわたっておこなわれた「人身供犠」

現代の価値観では恐ろしい儀礼というイメージが強い人身供犠。
文明が栄えたメソアメリカでは、共通して人身供犠に価値を見出しており、3000年以上にわたって、慣例として繰り返し行われていました。

本展ではそんな人身供犠に関する展示もあります

テオティワカン文明のマスク、メキシコ国立人類学博物館

こちらはテオティワカン文明の土製の顔型マスクです。
ただ、マスクとして使用されていたのではなく香炉台の装飾として使用されていたと考えられています。神官あるいは戦士を表現している可能性が高いそうです。

3つのピラミッドから謎に満ちたテオティワカン文明を紐解く

テオティワカン文明は他2つの文明に比べて必ずしも知名度は高くはなく、本展で初めて名前を耳にした方も少なくないはず。

そもそもテオティワカンとは海抜2300mの場所にある古代計画都市で、まだまだ知られていないことが多いです。
本展のゲストキュレーター兼監修者である杉山三郎先生(岡山大学特任教授、アリゾナ州立大学研究教授)いわく、「民族や使用されていた言語などがわかっていない、謎に満ちた計画都市である」とのこと。

そんな中で発掘されたのが次の3つのピラミッドです。

  • 太陽のピラミッド
  • 月のピラミッド
  • 羽毛の蛇ピラミッド

テオティワカン文明のエリアでは、これらのピラミッドから出土した作品を展示しています。

キービジュアルにもある「死のディスク石彫」を展示

まずチェックしておきたいのが、キービジュアルにもある「死のディスク石彫」でしょう。

死のディスク石彫の展示、メキシコ国立人類学博物館

こちらは太陽のピラミッド正面の「太陽の広場」から出土した石彫です。舌を出している頭蓋骨の周囲に放射状のモティーフが配されています。

テオティワカン文明が起こったメソアメリカでは日没は死、日の出は再生を意味するものとされており、この石彫は西に沈んでしまった(=死んだ)太陽を表していると解釈されています。

羽毛の蛇ピラミッドをリアルに体感

テオティワカン文明の代表的な遺跡の1つである「羽毛の蛇ピラミッド」。
本展では、羽毛の蛇ピラミッドとそれにまつわる石彫を、より魅力的にそしてリアルに感じてもらえるような展示も。

「羽毛の蛇ピラミッド」から突き出るように配置された2つの石彫

このピラミッド、写真にもあるように現在では石で覆われていますよね。
しかし、杉山先生によると「当時は白い化粧漆喰が塗られていて、主だった所は赤い色で塗られていた」とのこと。
当時の様子を想像しながら、石彫を鑑賞してみるのも面白いかもしれません。

古代人が掘ったトンネル内部を再現

また、「羽毛の蛇ピラミッド」の地下トンネルの出土品も。

トンネル内部を再現した展示

これはピラミッド内部のトンネルを再現したもの。
2003年に見つかったもので、なんとピラミッドの15m下に古代人が掘ったトンネルだそうです。壁にはトンネル内部の断面図が描かれており、出土品と共に内部構造をみることもできます。

たくさんの出土品と研究から明らかになったマヤ文明

巧みな交易や外交、あるいは戦争を通じて都市国家同士が覇権を争ったマヤ文明。
「ジャングルの中にある神秘の文明」というイメージが強いですが、ゲストキュレーターの猪俣健先生(アリゾナ大学教授)曰く「考古学や科学的な分析、文字の解読によってマヤ文明の実態が明らかになっている」とのこと。

本展では、遺跡からの出土品はもちろんのこと、マヤ文明の研究の発展についても見逃せません。

解読が進んでいるマヤ文字の碑文

マヤではマヤ文字と呼ばれるものが使用されていましたが、このマヤ文字、今ではかなりの部分が読めるようになっているそうです。

実際に本展に展示されている石彫も解読が進んでいます。
例えばこちらの「96文字の石板」は歴代の王の即位の様子が日付とともに記されており、本展ではどこに何が書いているか詳しく解説されています。

「96文字の石板」、アルベルト・ルス・ルイリエ パレンケ遺跡博物館

「96文字の石板」が出土したのは芸術の都として知られている都市国家パレンケの遺跡。
パレンケはマヤの中で特別大きな遺跡ではありませんが、美しい石彫と優れた碑文があることで知られています。

猪俣先生によれば、マヤの人にとって、碑文とはただ情報を伝えるだけではなくて、文字自体が美術として尊ばれていたとのことで、「96文字の石板」はマヤ芸術の中でも最高峰のものとなっているそうです。

ぜひ、展覧会に訪れたらチェックしてみてください。

日本初公開「赤の女王」の墓の出土品

都市国家パレンケの黄金時代を築いたとして知られているのが、キニチ・ハナーブ・パカル王です。
そのパカル王の王墓はマヤ文明の研究において重要なものとなっていますが、1994年、そのパカル王墓の隣にある「13号神殿」という建物で、パカル王の妃ではないかとされる「赤の女王」(スペイン語でレイナ・ロハ)の墓が発掘されました。

本展では「赤の女王」の墓の出土品であるマスクや冠、首飾りなどを日本初公開。
こちらも見逃せません。

「赤の女王」(スペイン語でレイナ・ロハ)の展示

13号神殿の石室をイメージした展示室に赤の女王に見立てたマネキンを横たわらせ、埋葬時の状態を副葬品と合わせて再現しています。

石棺に横たわるように見える

とても厳かな雰囲気の中、豪華な翡翠製の頭飾りや胸飾りを見ることができます。

アステカ文明の優れた彫刻品を紹介

アステカ文明は世界史の教科書にも登場する、日本でもよく知られた文明の1つ。
本展では、優れた彫刻品や大都市として成長した首都・テノチティトランの大神殿にスポットを当てて解説。
中でも特徴的なのがこちら。

鷲の戦士像、テンプロ・マヨール博物館

こちらは「鷲の家」から出土した「鷲の戦士像」。
何を表現した像なのかは議論が続いていますが、多くの専門家はアステカの勇敢な軍人である「鷲の戦士」だったと考えているようです。

この像はあらゆる角度から鑑賞することができるので、ぜひ前面だけでなく背面の造りもチェックしてみてください。

図録をはじめグッズも充実!

本展では、グッズも見逃せないポイントの1つです。
まず、展覧会でおなじみの公式図録。
3種類のカバーからお好きなものを選べるようになっています。

3種類からカバーが選べる公式図録

展示されている至宝約140件に加え、論文やコラムなども収録。
古代メキシコの3つの文明について深く理解することができるでしょう。
開きやすいように作られているので読みやすさも抜群です。

他にも古代メキシコ関連の書籍を取り揃えています。

古代メキシコ関連の書籍

ミュージアムショップには書籍だけでなく、展示品のデザインを使ったオリジナルグッズも。
例えばこちら。

本展オリジナルのマイネームはんこ

こちらは本展オリジナルのマイネームはんこですが、よく見ると何やら絵柄が描かれていますよね。この絵柄は古代マヤ文字の音節文字。
とてもユニークで可愛らしいですよね。

ペンケース&シュシュのセット

こちらはなんとペンケース&シュシュのセット。
テオティワカンのピラミッドを飾った羽毛の蛇神石彫がペンケースになっています。
なかなかビッグサイズのペンケースです。

他にも死のディスク石彫が描かれたコインケースや、ピラミッド柄のマット、展示品をデフォルメ化した可愛いフォンタブストラップホルダーなども。

充実のグッズ類 

可愛らしい豆皿

その他、クリアファイルやマグネット、ポストカードといったおなじみのミュージアムグッズも取り揃えています。

オリジナルのクリアファイル

ポストカードやマグネット

ミュージアムショップの向かいにはこんなものも。

本展オリジナルのカプセルトイ

アクリルキーホルダーや缶バッチなどをゲットできます。
記念に回してみるのも楽しいかもしれませんね。

※商品は数量限定でのご用意の為、完売となる場合がございます。

特別展「古代メキシコ ―マヤ、アステカ、テオティワカン」開催概要

本展は東京・福岡・大阪の3ヶ所で開催します。

【東京会場】

会場

東京国立博物館 平成館

会期

2023年6月16日(金)~9月3日(日)

開館時間

9:30~17:00 
※土曜日は19:00まで 
※総合文化展は午後5時閉館
※いずれも入館は閉館の30分前まで

※8月7日(月)は古代メキシコ展「こどもの日」のため9:00〜15:30開館。参加条件など詳しくは公式サイトをご確認ください。
https://mexico2023.exhibit.jp/

休館

月曜日、7月18日(火)

 

【福岡会場】

会場

九州国立博物館

会期

2023年10月3日(火)~12月10日(日)

開館時間

9:30~17:00  
毎週金・土曜日は20:00まで夜間開館
※入館はいずれも閉館の30分前まで
※夜間開館の実施については、九州国立博物館ホームページでご確認ください。
https://www.kyuhaku.jp/

休館

月曜日 
※ただし、10月9日(月・祝)は開館、10月10日(火)は休館

 

【大阪会場】

会場

国立国際美術館

会期

2024年2月6日(火)~5月6日(月・休)

開館時間

10:00〜17:00

毎週金・土曜日は20:00まで夜間開館
※入館はいずれも閉館の30分前まで
※夜間開館の実施については、国立国際美術館ホームページでご確認ください。
https://www.nmao.go.jp/

休館

月曜日 
ただし、212日(月・振休)、429日(月・祝)、56日(月・振休)は開館し、213日(火)は休館

         
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