劇団四季 トロイ戦争は起こらないだろう DVD
劇団四季はここから始まった。伝説の旗揚げ公演が、五十五年の時を経て、今、蘇る!
戦争は人間の宿命なのか。
ジロドゥの外交官としての冷徹な目と永遠を見つめる詩人の目が
戦争へと突き進む人間の愚かさを炙り出す。
戦争を最後に防ぎとめるものは人間の意志と良心であり、それ以外のものではない。―フランス外交官として第二次世界大戦に向かう生々しい現実に足を下ろしながら、戦争を、人間の魂の医師ともいえる芸術家の目でしっかりととらえ、見事に描き切ったジロドゥ。
本作はそのジロドゥ全戯曲の中でも最も外国語に翻訳され、最も多く上演されている傑作です。ジロドゥの描いた宿命ともいえる戦争と平和のメカニズムは、決してトロイの時代だけではなく、現代にもあてはまる現実の問題として、鋭く胸に迫ります。あたかも門外漢が土足で乱入してきた如く、巨大な脚部が屹立する金森磬の圧倒的な舞台装置も、観客の感性にさまざまな角度からゆさぶりをかけます。
○2008年9月 自由劇場にて収録
【ストーリー】
明るい春の光の中で平和を取り戻したトロイの街。永年にわたる侵略国との戦も、王子エクトールの武勇により勝利に終わったばかりなのだ。が、それも束の間、エクトールの弟パリスがギリシャ国王メネラスの妻である、絶世の美女エレーヌを誘拐したため、ギリシャが抗議を申し入れてきた。エレーヌをもとのままで返さなければ戦いを挑むという。幾度もの戦場生活に戦争の虚しさを知らされたエクトールや、その妻アンドロマックらは、平和を維持するためエレーヌを返そうとするが、その美しさのとりこになったパリスや王プリアムらは、トロイの名誉にかけても返すまいとする。その中を、エレーヌ引き渡し交渉のため、ギリシャの知将ユリスがやってくる。戦争の門は果たして閉じられるのだろうか。そしてトロイ戦争は起こるのだろうか、起こらないのだろうか。劇は、宿命と、それに抗う人間の拮抗のうちに進められていく。
作:ジャン・ジロドゥ
演出:浅利慶太
*123分収録/画面サイズ16:9LB/日本語字幕ON・OFF機能付
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