劇団四季 ひかりごけ DVD
日本の舞台美術史上に燦然と輝く傑作「ひかりごけ」がDVDでリリース!
『ひかりごけ』は、船が難破して雪と氷に閉ざされた4人の船員が、次第に極限状態に追い込まれてゆく姿を通して、生きることの意味を真正面から問うドラマです。
初演は1955年(昭和30年)7月。劇団四季創立から2年後のことです。ジャン・アヌイ・、ジャン・ジロドゥの作品だけを上演してきた劇団四季が、“実験劇場”と銘打って初めて上演した創作劇でもあります。
この作品の特筆すべき点は、なんと言っても金森磬による前衛的な舞台芸術。舞台前面を除いては、天井まで白い壁ですっかり塞がれた舞台、上下左右から舞台奥へ走る線が美しい基盤目をつくり、ところどころに小さな円形の窓があけられ、直線と円の幾何学的な白い密室を作り出している―。船員たちが流され辿り着いた北海の孤島、日々つのる飢え…作品に描かれている人間の極限状態をこのような大きな「箱」で表現したのです。この意表をつく装置は、それまでの舞台芸術の概念を根底から覆すような衝撃を演劇界に与え、『ひかりごけ』は日本の舞台美術史上に燦然と輝く傑作となりました。初演から半世紀が経つ今も、その輝きは色褪せることはありません。
○2009年4月 自由劇場にて収録
【ストーリー】
第2次世界大戦の最中の1944年(昭和19年)12月。日本軍の急務を負った船団「暁部隊」は小樽港に向けて根室港を出帆した。空模様は朝から怪しく、羅臼沖合にさしかかった頃、北海道特有の吹雪が襲いかかる。不安な航海を続けていた船団の中の1隻がついに機関部に故障を生じ難破してしまう。
4人の乗組員、船長、八蔵、五助、西川はロープをつたって辛うじて近くの孤島に難を避けるが、雪と氷に覆われた島には、人間の食用となりうるものは時々見かけるアザラシぐらいである。4人は壊れかかった小屋から洞窟へと避難場所を替えるが、最後のアザラシの肉をむさぼり食って以来、海岸にはもう何一つ見当たらない。襲いかかる飢えと寒さ―お互い励まし合って、その状況に耐えていた4人も今では孤独の中に閉じ込められ、重い沈黙が支配するばかり。そして生き残るための壮絶な葛藤が始まる―。
作:武田泰淳
演出:浅利慶太
*73分収録/画面サイズ16:9/リージョンALL/日本語字幕ON・OFF機能
※ジャケットのデザインはイメージです。商品と異なる場合があります。
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