特別展「古代DNA ―日本人のきた道―」、3月15日から国立科学博物館で開催【NHKプロモーション】

特別展「古代DNA ―日本人のきた道―」、3月15日から国立科学博物館で開催【NHKプロモーション】

ルーツを探れ、彼らの声を聴け

特別展「古代DNA ―日本人のきた道―」が、3月15日(土)から6月15日(日)まで国立科学博物館(東京・上野公園)で開催されます。その後、名古屋市科学館へ巡回予定です。

遺跡から発掘された古代の人々の骨に残るごく僅かなDNAを解読し、人類の足跡をたどる古代DNA研究。近年では技術の発展とともに飛躍的な進化を遂げ、ホモ・サピエンスの歩んできた道のりが従来想像されていたよりもはるかに複雑であったことが分かってきました。
本展では、日本各地の古人骨や考古資料、高精細の古人頭骨CG映像などによって、最新の研究で見えてきた遥かなる日本人のきた道と、集団の歴史が語る未来へのメッセージを伝えます。

 

◆展示構成

第1章 最初の日本人―ゲノムから見た旧石器時代の人々

アフリカで誕生したホモ・サピエンスは6万年ほど前に世界展開を始め、およそ4万年前に日本列島に到達しました。この「最初の日本人」の実態は、化石証拠がないことから謎に包まれていましたが、近年沖縄県石垣島の遺跡からこの時代の人骨が続々と発見され、その一端が明らかになりつつあります。
国立科学博物館では、古代ゲノム解析でノーベル賞を受賞したスバンテ・ペーボ博士のグループと共同でこれらの人骨の研究を進めており、このコーナーではその成果を紹介します。


4号人骨
旧石器時代 沖縄・白保竿根田原洞穴遺跡
沖縄県立埋蔵文化財センター蔵


4号人骨 復顔
国立科学博物館蔵

 

第2章 日本の基層集団―縄文時代の人と社会

縄文時代は、日本列島域で土器が出現したおよそ1万6000年前から、九州北部で水田稲作が登場した2900年程前まで続きました。当時の人々は定住し、自然から食料を獲得する生活を基本としていましたが、一部の地域ではこのような暮らしが2400年前まで続いていました。縄文文化は時期や地域ごとに特色がありますが、近年、人骨に残されたDNAを解析する技術が飛躍的に向上し、縄文人がどのような人々だったのか、わかってきました。ここでは、縄文人と彼らの社会や精神文化についてご紹介します。


海岸部の縄文人
縄文時代晩期 宮城・里浜貝塚
奥松島縄文村歴史資料館蔵


クマ形土製品
縄文時代晩期末~弥生時代 岩手・上杉沢遺跡
二戸市文化財埋蔵センター蔵
※展示は複製品(国立歴史民俗博物館蔵)

 

第3章 日本人の源流―さまざまな弥生人とその社会

水田稲作が始まった弥生時代は、縄文人とは見た目はもちろん、DNAや考え方が異なる、青銅や石の武器を持つ朝鮮半島青銅文化人の登場によって幕を開けました。それから600年後の九州北部に現れる甕棺墓かめかんぼから見つかる人骨は、ほぼ渡来系のDNAをもつ人々と予想されています。さらにその後の400年あまりで現日本人のDNAがほぼ出そろったことも明らかになっています。100年あまりで縄文人のDNAと入れ替わった弥生人のDNAの物語をご覧ください。


青谷男性頭骨
弥生時代後期(2世紀) 鳥取・青谷上寺地遺跡
鳥取県立青谷かみじち史跡公園蔵


青谷男性頭骨 青谷上寺朗(復顔)
鳥取県立青谷かみじち史跡公園蔵


現状でもっとも古い渡来系弥生人が使った朝鮮半島系の甕
弥生時代前期(紀元前7世紀) 福岡・比恵遺跡
福岡市埋蔵文化財センター蔵

 

第4章 国家形成期の日本―古墳時代を生きた人々

古墳時代に入るとヤマト政権が誕生し、国家成立へ向けて社会が動き出します。弥生時代だけではなく、この時代になっても継続的に渡来人はやってきました。そうした人々が、須恵器生産・鉄器生産・馬の飼育などの新たな技術を伝え、日本列島における国づくりを支えました。
これまで解析された多くの古墳時代人のゲノムは現代日本人に近いことが分かっていますが、その一方で縄文系のDNAを色濃く残す人々もいました。一口に古墳時代人と言っても多様なDNAを持つ人々の集合だったのです。


馬形埴輪
古墳時代(5世紀) 大阪・茶山2号墳
羽曳野市教育委員会蔵


古墳人骨(頭骨)
古墳時代前期末 岡山・久米三成4号墳第1主体
岡山理科大学蔵

 

トピック イヌのきた道

日本列島には1万年程度前の縄文時代に現在のところ最古のイヌの系統が渡来し、7000年間他のイヌと混ざることなく、この古い系統が維持されてきました。弥生時代以降のヒトの移動とともに縄文時代のイヌとは異なる系統のイヌが日本列島に渡来し、在来のイヌと混ざってきました。このようなイヌの移動と混血の歴史をDNAから解き明かしていきます。本章で展示する骨のほとんどはDNA解析をしています。


ニホンオオカミの頭骨
江戸~明治時代 神奈川・清川村
清川村蔵


イヌの頭骨
縄文時代 愛媛・上黒岩岩陰遺跡
慶應義塾大学蔵

 

トピック イエネコの歴史

イエネコはイヌとならび古くから人と関わりが深い動物であり、世界中でイエネコに関する多数の歴史資料が見つかっています。
日本には、稲作の伝来が始まった弥生時代に持ち込まれたという説がありますが、近年のDNAを用いた分析では、現代に生きる日本猫の多くは、より最近の平安時代前後に持ち込まれたネコを祖先とすることが分かってきました。本展示では、イエネコがいつ日本に持ち込まれ、日本人とどのように暮らしてきたかを最新のDNA研究から迫ります。


動物足跡付須恵器
古墳時代終末期 兵庫・見野6号墳
姫路市教育委員会蔵

 

第5章 南の島の人々―琉球列島集団の形成史

日本列島の南をつなぐ琉球列島は、歴史的に南島と呼ばれています。南島の自然は、亜熱帯と黒潮とサンゴ礁で特徴づけられ、新石器時代にはその幸を活かした南島型の縄文文化が花開きました。弥生時代になると福岡平野の弥生人が南島特産の大型巻貝を使った腕輪を作り始め、貝殻の入手のために九州・沖縄間に長大な海上交易路が生まれ、古墳時代に続きます。1000年にわたる海上往来は人々のDNAに何をもたらしたのでしょうか?展示をお楽しみに。


北上する南島人
縄文時代後期末~晩期初め 鹿児島・宝島大池B遺跡
国立歴史民俗博物館保管


輸出用イモガイと御守りのシャコガイ
弥生時代併行期(2000年前) 沖縄・沖縄本島 木綿原遺跡
世界遺産座喜味城跡 ユンタンザミュージアム蔵


現生貝(左)と貝釧粗加工品(右2点)
古墳時代中期から後期 鹿児島・沖永良部島 西原海岸
個人蔵

 

第6章 北の大地の人々―縄文人がアイヌになるまで

日本列島の北部の文化は約2400年前に稲作農耕を行わない「続縄文文化」が誕生したことを契機に本州島以南とは異なる文化的変遷をたどり「アイヌ文化」に至っています。
人の成り立ちにおいては、縄文時代から19世紀半ばまで南北双方からわずかながら遺伝的交流があるものの、縄文人の形質・遺伝子を色濃く引き継いでいるのです。
本章では、発掘された出土品から日本列島における人と文化の多様性を感じていただけます。


玉類と貝輪
続縄文前半期 北海道・有珠モシリ遺跡
東北芸術工科大学保管


エムシ(太刀)
17世紀 北海道・有珠4遺跡
北海道伊達市教育委員会蔵

 

◆音声ガイド

音声ガイドナビゲーターは、タレントの井上咲楽さん

NHK「サイエンスZERO」でナビゲーターを務めるなど多方面で活躍中のタレント・井上咲楽さんの出演が決定しました!ナレーターの斉藤茂一さんと共に最新の古代DNA研究で古代人の謎に迫ります。


音声ガイドナビゲーターを務める井上咲楽さん(プレス発表会より)

 

井上咲楽さんからのコメント(一部抜粋)

監修の先生方との話から、古代の人々がどんぐりや塩を使ってシチューを作り、土器に残る焦げ跡から当時の食文化がわかると知り、とても驚きました。こうした発見を通じて、古代から現代に至るまでの人々の営みがどのように紡がれてきたのかに思いを馳せています。ナビゲーターとして、一つひとつの展示に込められた魅力を丁寧にお伝えしたいと思います。ぜひ、目で、耳で、展覧会を存分にお楽しみください。

 

◆展覧会概要

  • 展覧会名:特別展「古代DNA ―日本人のきた道―」
    Special Exhibition: Ancient DNA: The Journey of the Japanese People
  • 会期:2025年3月15日(土)~6月15日(日)
  • 会場:国立科学博物館(東京・上野公園)
  • 開館時間:9:00~17:00(入場は16:30まで)
    *ただし毎週土曜日、4月27日(日)~5月6日(火・休)は19:00まで延長(入場は18:30まで)
    *常設展示は4月26日(土)~5月6日(火・休)は18:00閉館(入場は17:30まで)
    それ以外の期間、常設展示は17:00閉館(入場は16:30まで)
  • 休館日:月曜日、5月7日(水)
    *ただし3月31日(月)、4月28日(月)、5月5日(月・祝)、6月9日(月)は開館
    *会期・開館時間・休館日等は変更になる場合がございます
  • 主催:国立科学博物館、NHK、NHKプロモーション、東京新聞
  • 協賛:DNP大日本印刷、早稲田アカデミー
  • お問い合わせ:TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)、FAX:03-5814-9898

▼特別展「古代DNA ―日本人のきた道―」公式サイト
https://ancientdna2025.jp

 

◆チケット

入場料(税込)

当日券 前売券
一般・大学生 2,100円 2,000円
小・中・高校生 600円 500円

※前売券は、2025年1月20日(月)から2025年3月14日(金)までの販売。
※未就学児は無料。
※障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名は無料。
※学生証、各種証明書をお持ちの方は、入場の際にご提示ください。

販売場所 :公式オンラインチケット(ART PASS)、各種プレイガイドなどで販売。

お得な平日限定 音声ガイドセット券も販売しています。詳しくは公式サイトをご覧ください。

>>特別展「古代DNA ―日本人のきた道―」公式サイトチケット情報

  

公式図録やオリジナルグッズも!

会場内特設ショップでは、公式図録やオリジナルグッズもたくさん取り揃えています。人気イラストレーター・Noritakeさんとのコラボグッズのほか、土偶や埴輪のぬいぐるみなども登場!お楽しみに!

※詳細は決まり次第、公式サイトで順次お知らせします。


プレス発表会時に紹介されたグッズ ※サンプル

 

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