「千田先生と行く!日本最強で不滅の城ライブ」夏期講習現地レポート

「千田先生と行く!日本最強で不滅の城ライブ」夏期講習現地レポート

“城マスター”こと奈良大学教授で城郭考古学者の千田嘉博先生と“城好き”ゲストが城談義をしながら、お城を巡って生配信する「千田先生と行く!日本最強で不滅の城ライブ」。東京・青山で千田先生が過去4回の配信を振り返っての裏話や訪れたお城を深掘り解説するスペシャル夏期講習が開催されました。多数の熱心なファンが青山の教室で、オンラインで耳を傾けた夏期講習の模様は現在見逃し配信中。千田先生が熱いお城愛とユーモア、秘蔵写真を織り交ぜながら展開した講習の模様をレポートします。


目次

1.開場前から熱心な受講生たちが会場へ
2.千田先生撮影の秘蔵ショットも公開!お城生配信を振り返る夏期講習
 2-1.「高知城」 日本最大級の石落しがある追手門に世界の城と共通点が
 2-2.「備中松山城」自然をうまく使いこなし、地形を工夫し抜いた天空の山城
 2-3.「小田原城」崩れた石垣をあえて残して地震の被害を未来に伝える城
 2-4.「小諸城」断崖絶壁の上に作られ、中心地に向かって低くなる穴城


1.開場前から熱心な受講生たちが会場へ

夏期講習の会場となったのはNHK文化センター青山教室。このセンターではメディアでおなじみの著名人による講座やNHK大河ドラマやNHK連続テレビ小説などNHKの番組関連講座も多数。現在は遠方の方も利用できるオンライン受講可能な講座も充実し、全部で1200種類もの多彩なカルチャー講座をラインナップしています。

センターには今回の夏期講習の会場に使われたグランルームⅡという大きな教室のほか、大小さまざまな教室を完備。ラジオ収録もできる防音設備が整った音楽室、ダンスなどで使用する板張りのレッスンルームのほか、和装などを学ぶ落ち着いた和室もあります。

2.千田先生撮影の秘蔵ショットも公開!お城生配信を振り返る夏期講習

夏期講習では千田先生が今年2月から毎月1回行ってきたお城の生配信を振り返り、撮影中の裏話を披露。さらに訪れたお城にまつわる配信では語れなかった詳細解説も。生配信を見た人はもちろん、見ていない人も充分楽しめる講義内容でした。第1回配信の「高知城」から順にレポートしていきます。

2-1.「高知城」 日本最大級の石落しがある追手門に世界の城と共通点が

記念すべき第1回は、高知県の「高知城」。東京大学史料編纂所教授の本郷和人先生、高知県教育委員会の池川滋彌さんがゲスト。千田先生と共にレギュラーで各城を訪ねる「日本最強の城スペシャル」「絶対行きたくなる!ニッポン不滅の名城」の村中プロデューサー(村中P)も同行。話が盛り上がり過ぎて、生配信中に天守までたどり着けなかったという奇跡のハプニングが起こった初配信を振り返りました。

千田先生ら一行は普段非公開の追手門の内部に潜入し、日本でも最大級という大きな「石落し」を見学。講習では改めて、石落しや狭間など追手門の徹底した防御について細かくおさらいしました。紀元前のドイツの遺跡・ホイネブルクや13世紀のシリアにある上城門要塞・アレッポ・シタデルを例に挙げ、時代や国は違うものの、石落しや狭間など高知城の追手門との共通点を解説。詰門の非公開エリアも振り返り、石垣に密着して斜めになった寄掛柱に着目。安土城や大坂城、犬山城の寄掛柱も合わせて紹介しました。

2-2.「備中松山城」自然をうまく使いこなし、地形を工夫し抜いた天空の山城

2回目は岡山県にある備中松山城。城好き俳優の村井美樹さん、高梁市教育委員会の三浦孝章さんを迎えての配信。大手門の柱が立っていた礎石の鉄サビの痕跡を振り返り、門の表面に鉄板を張っていたと推測。姫路城の門を例に挙げて詳しく解説しました。

現存天守と付櫓がある備中松山城は、天守への入り口がないとされる多くの城の謎を解くカギになる事例だと説明。先生が特に紹介したかったという東御門にも言及。外から鍵をかけ、開け閉めができる珍しいお城の引き戸誕生の意外な経緯を改めて説明しました。

2-3.「小田原城」崩れた石垣をあえて残して地震の被害を未来に伝える城

3回目は神奈川県にある小田原城。歴史作家の河合敦先生、小田原城天守閣館長の諏訪間順先生を迎えての配信。千田先生が生配信前日に宿泊したホテルから撮影した小田原城の写真を公開。驚愕の撮影エピソードに会場が笑いに包まれました。

史実に基づいて復元された小田原城の近くを通る東海道の話に。江戸時代、箱根の温泉の開発が進んで小田原に宿泊する客が減少。小田原の城下町が行った振興策について解説しました。関東大震災で崩れたまま一部残してある石垣を振り返り、地震の影響を伝える大事な痕跡と説明。2016年に地震で崩れた熊本城にも触れ、小田原城が今後の文化財修復について考える事例だとも話しました。

2-4.「小諸城」断崖絶壁の上に作られ、中心地に向かって低くなる穴城

4回目は長野県にある小諸城。2023NHK大河ドラマ「どうする家康」の時代考証を担当される平山優先生、小諸市教育委員会の髙橋陽一さんを迎えての配信。特別に見学が許された非公開の石垣整備現場見学を振り返りました。「石垣の断面が見られて幸せだった」と語る先生は石垣の三層構造を改めて解説。石垣に使用されている石や土について、その役割や崩れない秘密もわかりやすく説明しました。

浅間山が造った断崖を最大限に生かした珍しい穴城の優れたポイントのほか、連続した門がある小諸城と犬山城の絵図を見ながら、城の防御機能についても話しました。講習の最後には質疑応答タイム。会場とオンラインでの受講者たちから積極的に質問が寄せられ、先生がひとつひとつ丁寧に回答していました。

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高田りぶれ(たかだ・りぶれ)

山形県生まれ。ライターなど。放送作家のキャリアを生かし、テレビ・ラジオ番組のおもしろさを伝える解説文を年間150本以上執筆。趣味は観ること(プロレス、サッカー、相撲、ドラマ、お笑い、演劇)、遠征、料理。
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◆千田先生プロフィール

 

千田嘉博(せんだよしひろ)(城郭考古学者)

1963(昭和38)年、愛知県生まれ。城郭考古学者、大阪大学博士(文学)。現在、奈良大学文学部文化財学科教授。中学生の夏休みに姫路城を遠望して感動し、日本と世界の城の探検をはじめる。2015年に濱田青陵賞受賞。主な著書に『戦国の城を歩く』(ちくま学芸文庫)『信長の城』(岩波書店)『城郭考古学の冒険』(幻冬舎新書)などがある。

千田先生ツイッター:@yoshi_nara

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