東京・上野の国立科学博物館で特別展「恐竜博 2023」が開幕しました。3年半ぶりとなる「恐竜博」では、今回の主役である鎧竜「ズール」の全身実物化石ほか、恐竜ファンにはたまらない日本初上陸、世界初公開となる貴重な標本がズラリ。本展の監修者で国立科学博物館 副館長・真鍋真さんが報道内覧会で語った見どころ情報も交えつつ、注目ポイントをご紹介します!
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目次
1.「恐竜博2023」とは
2.「恐竜博2023」の主役・ズールとは
3.「恐竜博2023」見どころ
・ 「日本初公開!鎧竜ズールの化石」
・ 「植物食・肉食恐竜対決!ズールVSゴルゴサウルス」
・ 「圧巻!10m超えティラノサウルス2体の全身骨格展示」
・ 「世界初公開!2020年発掘の肉食恐竜マイプの実物化石」
・ 「恐竜たちの“攻守”を大画面で!NHK恐竜超世界シアター」
4.特別展「恐竜博2023」開催概要
5.関連商品
1.「恐竜博2023」とは
ズール・クルリヴァスタトルなど身を守るために胴体に板状・トゲ状の突起を進化させた植物食恐竜・装盾類(剣竜と鎧竜の総称)とティラノサウルス・レックスら肉食恐竜を対比させ、「攻守」を軸にそれぞれの進化を読み解く。
2.「恐竜博2023」の主役・ズールとは
ズール・クルリヴァスタトルの復元画 ©Royal Ontario Museum
ズール・クルリヴァスタトルは、皮膚が防御のためのトゲ状の突起で覆われ、尻尾に肉食恐竜の脛(すね)を破壊するほど強力なこん棒を持つ鎧竜。種小名の「クルリ」はラテン語で「脛(すね)」、「ヴァスタトル」は「破壊者」を意味します。その完全度、保存状態の良さから“鎧竜史上最高の化石”とも言われています。
3.「恐竜博2023」見どころ
「日本初公開!鎧竜ズールの化石」
ズール・クルリヴァスタトルの胴体部分(実物化石)
今回日本初上陸となったズールの化石はアメリカのモンタナ州で偶然発見されたもの。頭骨から尾のこん棒までが一緒に出土したのは世界初。今まで発掘された鎧竜の中でも完全度が高い標本で復元する時にはズールをガイドラインにして研究が行われています。
ズール・クルリヴァスタトルの頭骨
「ズール」の頭骨の化石。映画『ゴーストバスターズ』に登場する門の神・ズールに似ていたことから、研究にあたっていたカナダの博物館がハリウッドの映画会社に交渉して「ズール」が新属新種の学名に。
ズール・クルリヴァスタトルの胴体部分(実物化石)
胴体のトゲトゲした鎧だけでなく、軟らかい組織の部分が化石として残ったことが鎧竜の進化の解明を明らかにする手掛かりとなりました。
ズール・クルリヴァスタトルの棍棒(実物化石)
©Royal Ontario Museum photographed by Paul Eekhoff
ズールの特徴のひとつである尾の棍棒部分。細い鉛筆くらいの太さの骨成分がくっきり。大きくこん棒を振り回しても切れない工夫がほどこされているのがわかります。
ズール・クルリヴァスタトルの頭骨(実物化石)
頭骨の標本は360度からじっくり見ることができるように別の場所で展示されています。
「植物食・肉食恐竜対決!ズールVSゴルゴサウルス」
ズール(左)とゴルゴサウルスの対峙シーン
ズールのライバルであっただろう肉食恐竜・ゴルゴサウルスとの対決シーンを全身復元模型で再現した展示。推定全長6メートルのズールと9メートルのゴルゴサウルス対峙の構図がリアル!
脛のあたりを骨折しているゴルゴサウルスの化石が発見されており、ズールのような鎧竜のこん棒によってケガをさせられた可能性が。最近の論文ではズール同士での縄張り争いでこん棒が使われていたのではとの見方も。
「圧巻!10m超えティラノサウルス2体の全身骨格展示」
(手前)ティラノサウルス「タイソン」の全身骨格© Tyson T.rex, 2023
(奥)ティラノサウルス「スコッティ」の全身復元骨格(むかわ町穂別博物館所蔵)
©Courtesy of The Royal Saskatchewan Museum
超巨体のティラノサウルス・レックス2体を並べた大迫力の展示。写真右の推定全長13メートルの「スコッティ」は今まで見つかっているもので最重量級の8.9トンと推測されています。写真左の11.2メートルの「タイソン」は世界初公開!
タイソンは頭部の一部(前関節骨)や、胸の叉骨、前あしの上腕骨、脊椎骨、腹肋骨、後ろあしの趾骨など、ティラノサウルスの中でも発見例が少ない部位の実物化石を使って、組み立てられた全身骨格。研究途中の標本でCTスキャンなど調査する際にはずせるよう、骨格に黒い鉄製のフレームがはめ込まれている点も注目です。
「世界初公開!2020年発掘の肉食恐竜マイプの実物化石」
Ⓒ特別展「恐竜博2023」 国立科学博物館 東京・上野公園
2020年に国立科学博物館も参加したアルゼンチンの調査で発掘、2022年に新種として命名されたのがメガラプトル類の肉食恐竜マイプ・マクロソラックス。
このマイプの発見で南半球にメガラプトル類がいたらしいことが明らかになりました。コロナの蔓延で発掘が中断したこともあり、全身骨格復元は発掘再開後に。
「恐竜たちの“攻守”を大画面で!NHK恐竜超世界シアター」
Ⓒ特別展「恐竜博2023」 国立科学博物館 東京・上野公園
会場内に高さ約4メートル、幅約7メートルの大型モニターを設置。放映するのはNHKが制作した恐竜たちの“攻守”のドラマ。北半球に生息したティラノサウルス類に対し、南半球にいたとされるのが推定全長10メートルの肉食恐竜メガラプトル類。マイプら恐竜たちが力強く生きる世界を大迫力のCG映像で紹介します。
日本初上陸、世界初公開の展示を中心に「恐竜博2023」の見どころをご紹介しました。NHK総合では3月21日(火・祝)・26(日)に大好評シリーズの「NHKスペシャル 恐竜超世界2」が放送されます。NHKグループモールでは、恐竜関連のDVDや書籍を多数ラインナップしています。ぜひチェックしてみてくださいね。
4. 特別展「恐竜博 2023」THE DINOSAUR EXPO2023 開催概要
■会期:2023年3月14日(火)〜6月18日(日)
■会場:国立科学博物館(東京・上野公園)
■会館時間:9時〜17時(入場は16時30分まで)
※ただし、毎週土曜日、4月30日(日)~5月7日(日)は19時まで延長(入場は18時30分まで)
※常設展示は17時閉館(入場は16時30分まで)、4月29日(土)~5月7日(日)は18時閉館(入場は17時30分まで)
■休館日:月曜日※3月27日・4月3日・5月1日・6月12日は開館
会館時刻に変更が生じる場合がございます。また、チケットは日時指定予約制です。詳しくは公式サイトをご覧ください。
▶公式サイト
5. 関連商品
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◆レポート/ライター
高田りぶれ(たかだ・りぶれ)
山形県生まれ。ライターなど。放送作家のキャリアを生かし、テレビ・ラジオ番組のおもしろさを伝える解説文を年間150本以上執筆。趣味は観ること(プロレス、サッカー、相撲、ドラマ、お笑い、演劇)、遠征、料理。
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